イナゴ 夢小説

□お兄ちゃん
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 僕とマサキくんは最近一緒に帰ることが多くなった。

一緒に帰る、と言っても寄り道するわけでもないし、さらには会話だってほとんどない。
でも、マサキくんと無言で歩くのは全く気まずくなかった。
むしろその無言の空間が心地よかった。

狩屋「紅音。」

 珍しくマサキくんがしゃべった。
無言の空間は心地よいが、やはりマサキくんが話しかけてくれると嬉しい。

紅音「なに?マサキくん」

狩屋「……気持ちが悪いくらいにこやかだな。」
 僕はマサキくんに笑いかける。
マサキくんは顔を赤くしながら、僕から目をそらした。




狩屋「あのさ……紅音にとってキャプテンと霧野先輩って何なの?」

紅音「え?……せ、先輩だけど……?」

 目を合わさずに話すマサキくんのおかしな質問に、僕は戸惑いながらも答えた。


 だが、マサキくんは僕の答えに納得しなかったようだ。

狩屋「確かに先輩だろーけど、そうじゃなくて、さ。……二人は紅音にとってどういう存在なんだよ」

紅音「うーん……」


僕は考え込む。
先輩は先輩だ。


僕を可愛がってくれて、優しくて、かっこよくて、大好きな人。
それが神童先輩と霧野先輩だ。


紅音「そうだなぁ……お兄ちゃん、かな?」

狩屋「ふーん……」
 マサキくんは僕の方を向いた。
そして、じっと僕を見つめる。





狩屋「それじゃ、オレは?オレは紅音にとっての何?」

 マサキくんのいつにない真剣な瞳に圧倒されながら、僕は考える。


マサキくんは先輩二人とは違う。
でも、ただの同じ学年の生徒とか、ただの部活の仲間ではない。



どういう存在か、と聞かれるとこまるが、マサキくんが他の人とは違うことは確かだ。



紅音「えっと、マサキくんは……と、特別な人?」
狩屋「なっ……!?」


紅音「うん!そう、マサキくんは特別。僕にとって大事で、特別な人!」
狩屋「っ……」

 僕が隣をみると、マサキくんは手で顔をおさえていた。





紅音「?……どうしたの、マサキくん?」

狩屋「だ、黙れ……」
紅音「なんで!?」



僕たちがそんな会話をしているとき。

僕の肩が誰かに叩かれた。
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