イナゴ 夢小説

□遊園地
1ページ/6ページ

 入場ゲートをくぐった僕たちは、渡されたパンフレットを見ながらどこにいこうかと考える。

神童「紅音はどこにいきたい?」
紅音「うーん……。マサキくんは?」

霧野「なんでマサキに聞くんだよ……」
 霧野先輩が僕をみて何かを呟いた。
僕は霧野先輩に首をかしげてみせたが、先輩はなにも言わなかった。




狩屋「へぇ、かなり広いな……」
マサキくんはパンフレットの地図と周囲を見比べながら呟く。

紅音「何か乗りたいものある?」
狩屋「うーん……観覧車に乗りたいかな……」
地図を指さしながらマサキくんはいった。
紅音「観覧車は最後でいいんじゃないかな?」

地図を見ると、観覧車は入口から一番遠いところにあった。

狩屋「それなら、そうだな……じゃあジェットコースターは?」
紅音「あ、いいね!ジェットコースター!」

神童「最初から容赦ないな……」


 僕たちはジェットコースターのある場所へと移動する。

移動するのだが……







紅音「ま、周りからの視線が凄いですね……」
神童「……そうか?」

 さすが雷門の選手だ。
すれ違う人が振り返って、僕たち一向を見る。

そして、こそこそとささやくのだ。
「すごい!雷門だ!」
「かっこいいなあ…」

「あれ?でも一人見たことのないヤツがいるぞ?」
「本当だ……あれは雷門サッカー部じゃないよね?」




 僕は雷門サッカー部のマネージャーだ。
でも、彼らはそんなこと知るはずもない。

僕は先輩たちや、マサキくんとは違う。
3人は、僕とは別格の人間なのだ。



僕は改めてそのことを痛感した。

紅音「………」
場違いだろうか。

周りからの視線が僕に対する非難の眼差しに思えた。






……逃げてしまいたい。


霧野「おい、紅音。」
僕のその思考を止めたのは霧野先輩の声だった。


霧野「大体オマエが何を考えているかわかるが……あまり深く考えるなよ」

 霧野先輩は隣から僕の顔を覗き込んだ。
先輩の整った顔が近づき、僕は驚く。

霧野「紅音は雷門サッカー部の大事なマネージャーだ。だから気にしなくていいんだからな。」


 雷門サッカー部の大事なマネージャー。
その言葉は、僕の心の悪い感情を瞬時に消した。

霧野先輩は美しい顔に笑顔を浮かべた。
その笑顔は僕に安心感を与えてくれた。

紅音「ありがとうございます、霧野先輩……」
僕は笑顔で言う。

 霧野先輩は満足そうにうなずいた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ