イナゴ 夢小説

□遊園地へ行こう!
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天馬「紅音は凄いよね!もうマネージャーの仕事をマスターしてるもん!」
信助「茜さんが助かる、っていってたよ!」

紅音「ぼ、僕はまだまだだよ……」


僕たちは一緒に下校する仲になっていた。
いや、一緒に下校する仲になった、というより天馬くんたちは一人で下校する僕に気をつかっているのだろう。
雷門サッカー部のみんなは優しくて、かっこいい。僕は毎日彼らを好きになっていた。



天馬「紅音は可愛いから、女子の制服を着たら女子マネにみえると思うよ!」
信助「うんうん!絶対似合う!」
紅音「う、あんまり嬉しくないよ……」

 僕は自分が女子制服を着ている姿を想像して、苦笑いした。

紅音「あ、女装だったら僕より霧野先輩の方が似合うよ!絶対可愛いって!」

 僕は女装した霧野先輩を想像した。
……うん、かなり可愛い!!

すると、いきなり背後から腕がのびてきて、僕の首をがっちりとホールドした。

霧野「おい、紅音。後ろまで聞こえてるぞ……?」

天馬&信助「き、霧野先輩!」

 僕の首を締めながらうすら笑みを浮かべる霧野先輩。

紅音「う、すみません……」
霧野「え?何?聞こえない」

紅音「じょ、女装が似合うとか言ってごめんなさい!」
霧野「ふーん………それじゃあお詫びに紅音に女装してもらおうかな」
紅音「え、えっ!?」

霧野「大丈夫。紅音なら似合うって……」
紅音「本気で思ってないですよね!?目が笑ってないです!」

 僕は助けを求めようと神童先輩を振り返った。

紅音「し、神童先輩……」
神童「仲いいな」
さわやかな笑顔の神童先輩。
周りは敵ばかりだ……



 僕は天馬、信助とわかれ、霧野先輩とわかれ、神童先輩と二人になった。

夕日に染まった道を、僕たちは歩く。


神童「えっと、あの……紅音?」
紅音「はいっ!なんですか?」
神童「……なんでそんなに嬉しそうなんだ」

紅音「神童先輩と話すのが久し振りだからです!」
僕がそう言うと、神童先輩は笑った。

神童「紅音。」
紅音「……なんですか?」

 神童先輩の歩調がだんだん遅くなり、止まった。
僕は振り返って神童先輩を見た。

神童「……部活には馴染めたか?」
紅音「え……あ、はい!いい人ばかりで楽しいです!」
神童「そうか……」

 神童先輩は僕と目を合わせなかった。

紅音「………神童先輩?何か、あったんですか?」
神童「あ、いや……」

そう言ったのに、先輩は中々歩き出そうとしなかった。








神童「………紅音、急なんだけど、遊園地って嫌いか?」
紅音「遊園地、ですか?」

神童「ああ、その……この間のお礼をしたいんだ。それで僕の家が関わってる遊園地にでも招待しようかな……って。あ、嫌なら別の……」
紅音「行きたいです!!」
先輩の言葉をさえぎって、僕は言った。


紅音「遊園地なんて、僕、何年も行ってなくて……!好きです、遊園地!」
神童「そうか……」
神童先輩は笑って、安心したように息を吐いた。

紅音「あ、でも……お礼なんて、本当は僕の方がしなくちゃいけなくて……」

 僕は神童先輩のおかげでサッカー部のマネージャーになれたのだ。
こうしてたのしい学校生活を送れているのも、もちろん先輩のおかげだ。

紅音「だから、遊園地に連れて行ってもらうなんて、悪いです……」

 もちろん、遊園地には行きたい。
しかもあの神童先輩と一緒に行けるなんて、すごく嬉しい。

でも、部活のマネージャーにしてもらったのに、さらに「お礼」を受け取るなんて、ずうずうしくないだろうか?




紅音「神童先輩、僕は……」
断ろうといいかけたその時。
僕の肩に神童先輩の手が置かれた。


神童「行こう、紅音。」
紅音「で、でも!」

神童「……俺と出かけるのが嫌なのか?」
紅音「違います!」

 僕は必死に否定した。

神童先輩と出かけることが、嫌であるはずながい。

紅音「神童先輩と、遊園地に行きたいです。……でも!」
神童「じゃあ、決まりだな」

 神童先輩は僕の言葉をさえぎって言うと、カバンの中から紙を取り出した。


神童「紅音の歓迎会、してなかっただろ。だから、ちょっとした歓迎会ってことで」
 神童先輩は僕にその紙を渡した。

それは2枚の遊園地のチケットだった。

紅音「これ……」
神童「ああ、俺は霧野を誘うから、紅音も一人一年生を誘ってくれ。チケットは4枚しか取れなかったから、すごく小さな歓迎会になっちゃうけど……」


紅音「あ……ありがとうございます!」

僕はチケットを握り締めて言った。

神童先輩は嬉しそうに微笑んだ。






……さて、誰を誘おうかな?
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