☆小説☆

□スレ違イ、雨ノ下、朱ト紅。
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朱ハ想ウ…
  きっと紅に憎まれているのだと…
紅ハ想ウ…
  朱にいだく気持ちは偽りだと…

朱ト紅ハ真ノ心ヲ奥底ニ封ジルー…




スレ違イ、雨ノ下、朱ト紅。



ーーーザァァァ…

水滴が朱色の髪から滴り落ちる。
「……うっ…」
強くなった雨は確実にルークの体力を奪ってゆく。
…しかし右足は紫色に変色して腫れ、頭からも血が大量に流れていて貧血気味で、雨の当たらない場所に行く事も出来ない。
ルークは崖に囲まれた森の木にもたれかかり、何故こうなってしまったのか、と考えるしかなかった。

ー約2時間前ー

「あっ!アッシュ!!」

ルーク達はグランコクマに立ち寄っていた。ジェイドが珍しくできた用事を宮殿で済ませ、自由行動をしていた仲間たちが噴水広場に集まった時に、ルークが紅の髪を持つ彼ーアッシュを視線に捉え叫んだ。
振り向いた彼の眉間には普段の2割増しの皺が刻まれていた。
それを目に捉えたルークはビクッと体を震わせ足を止める。
アッシュより少し大きく感じるヒスイの瞳が揺らぐ。
それを見たアッシュの顔が一瞬歪んだのをルークは気付かない。
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