ショコラ

□第2話
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「行くあてがないのなら、うちに居ていいぞ。居候が一人増えた所で変わらないさ。」

ショコラがユリウスを呼び捨てにできるくらい慣れた頃、二人はジェリコの元へ訪れていた。

城から追われる彼女をここへ置くのはかなりのリスクがある。
領地や領民のことを考えれば簡単に許可はでないだろうと思っていたのだが…。

「こんな小さな女の子を監禁していたなんてな…。
怖かっただろう。流石にしばらく外出は許可できないが、敷地内で自由に遊ぶといい。」

「ありがとうございます、ジェリコさん!」

「ジェリコでいい。堅苦しいのは苦手なんだ、敬語もなしな。」

そんな心配は無用だったようだ。
それどころか、二人はのんきにお茶をしている。

「じゃあ、お言葉に甘えて…。
あと、もう一つお願いがあるの……。」

「なんだ?」

「私、仕事が欲しいの。情報屋として働くにはまだ時間がかかるから。」

身ひとつで出てきてしまった彼女は服もお金も持っていなかった。
色々と必要なものもあるだろう。

「服とか他に必要なものは俺が用意する。子供なんだから働かなくていい。」

ジェリコはぽんぽんと彼女の頭を撫でる。へたりとしていた彼女の耳がひょこひょこと動いている。

「私、もう子供じゃないわ!それに家賃も払いたいの!」

育ってきた境遇のせいだろうか?彼女はあまり子供っぽくないと思う。

「ジェリコの言葉に甘えておけ。子供は遊ぶのが仕事だというだろう。」

「ユリウスまで!兄様は働いているのに…。」

相手は城の宰相様。
彼は大人なのだから、働くのは当然だ。

「ユリウスに迷惑かけるなよ。お互い子供なんだから、ちゃんと遊ばなきゃ。」

今ばかりはエースの意見に賛成する。
ついでに彼の迷子を阻止して貰えれば、なお助かるのだが。

「もう子供じゃないわ…。兄様と同い年なのに……。」

「はいはい、分かった分かった
…って…………はっ?!」

「いやいやいや!どう見たって…。」

どう見たってエースと同じくらいか、もしくはもう少し下くらい。
いくらなんでも…。

「兄様と私は腹違いの兄弟だから、同じ年だけど兄弟なの。」

そんな馬鹿な…。



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