ショコラ
□第4話
2ページ/6ページ
ショコラがニンジン嫌いだと分かり、しばらく落胆したブラッドだったが、すぐにおいしい紅茶を振舞ってくれた。
「うん、すごく美味しいわ。今回のファーストフラッシュは当たりね。」
「だろう?わざわざ足を運んで買い付けたんだ。これくらい美味しくなければ。」
紅茶は兄さまが好きだったから、結構情報を集めたっけ。兄さまと私の唯一共通の好物であり、趣味でもある。
目の前にはニンジン料理を食べ続けるエリオットさん、その横では門番達が茶器がいくらで売れるかを話していた。
「そういえば、二人の名前を聞いていなかったわ。教えて貰える?」
会話の内容から、ウサギのお兄さんの名前がエリオットと言うのは分かったが、門番の二人については情報がない。
「ボスのお客さんならしょうがないね。僕はトゥイードル=ディー。ここの門番なんだ。」
「トゥイードル=ダムだよ。兄弟と一緒に門番をやってるんだ。」
「あ、えっと私は…」
ショコラが自己紹介をする前に二人が好き勝手に話し始めた。
「ダイヤの城の情報屋さんなんだよね?」
「お城のどこかに埋蔵金とかないの〜?」
「え?えぇ?!」
「あ、別に埋蔵金じゃなくてもいいよ?宝物庫の入り方とか。」
「庭では結構遊ぶんだけど、中にはなかなか入れないんだよねぇ。」
「そ、そうなの?!」
埋蔵金…は聞いたことがない。
兄さまの真っ黒コレクションとか、クリスタの寒いコレクション部屋ならあるんだけど…。
「二人とも、彼女を困らせるんじゃない。知っていたとしても、そう簡単に話せる情報ではないだろう。彼女は情報屋なのだから。」
「おい、ブラッドの客を困らせるなよ!」
今まで高みの見物を決め込んでいたブラッドが二人を抑制すれば、ショコラに引っ付いていた2人をエリオットが引っぺがしてくれた。
「あ、ありがとう。エリオットさん。」
「ん?ああ、気にすんな。あと、慣れてねぇから、さん付けは止めてくれ。」
ぴょこぴょこと動く彼の耳。それにつられるショコラの耳。
エリオット、は流石に抵抗がある…。
エリオットくん…なんか違う…。
えーっとえーっと。
「ん……じゃあ、エリーちゃん…?」
「ごほっっ。」
隣に座っていたブラッドが、紅茶を噴き出した。
「ちょ…それは…。」
「だ、ダメかなぁ…?」
勝手に親近感が湧いてそんな結果になってしまったけれど、やっぱりダメだろうか。
「い、いや…分かった…。」
「ほんと?!ありがとう、エリーちゃん!!」
.