新作部屋

□君は強がり
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ふかふかした布団に身を沈められた途端に、また唇を奪われた。いつも余裕な態度を崩さない太子には珍しく、理性を捨てたような行動だった。


「…んっ」


「やばいかも、私……」


そっと太子の左胸に触れると僕よりも早く鼓動を刻んでいた。


「妹子が、欲しい…」


「僕だって同じですよ…」


朝服の下だけ脱がされ、面倒だと言わんばかりに胸まで服をまくられた。ある意味全裸より恥ずかしい格好になってしまった僕は小娘のように頬を染めた。


ひやりとした手が平らな胸を撫で、肌が粟立つ。太子は胸板に顔を寄せて頬を擦りつけると、僅かな痛みと共に口づけの分だけ痕を散らしていく。


昴りは待ちきれないというように先から液をこぼし、ぽつぽつと腹に滴を落とす。


「…もうガチガチにしちゃって、そんなに私が欲しいの?」


「き、聞くなっ…」


同じ男だから分かるだろうに、揶揄する癖は抜けないらしい。そしてそれに毎度感じさせられている僕も僕だが。


「辛そうだから、早く出してあげなきゃね」


太子の唇から赤い舌が覗く。次の瞬間には先端が太子の口腔に飲み込まれ、溶けてしまいそうな快楽に襲われる。


「あっ…ふァ、んっ!」


太子に抱かれるのは久々で、おまけに最近自分で慰めていなかったものだからすぐに達してしまいそうになるのをこらえる。内腿が震え、爪先が白い布団をひっかいた。


「ア、んぅ…!やっ、んっあ…やあぁ…」


鈴口を舌でほじくられ、あまりの気持ちよさにぎゅうっと目をつぶる。そのせいで感覚が余計に鋭敏になってしまい、びくびくと身体が淫らに跳ねる。


「ぁあ、もう…だめぇ、たいしぃ…ッ」


果てる直前に思わず名前を呼び、足の指を丸めて絶頂の大波にさらわれた。


「随分早かったねぇ、それに濃い目だったし。もしかして抜いてなかったの?」


「……るさい、別に抜かなくたって生きていけますよ…」


「そんなこと言って、私以外に抱かれるのは嫌なくせに。すっかり妹子も私色に染まってきたみたいだな」


「ほざけ…ぁっ」


いつのまにか太子の手に握られた瓶からどろりとした液体が僕の孔にたっぷりとかけられていた。くるくると探るように触れてくる指に孔は素直にひくつき、侵入を今か今かと待ち望む。


「あ……ァん…」


ほんの少し指が入っただけでこの貪欲な身体は快感だと判断してしまう。久しぶりの行為に臨む僕を労っているらしく、太子の指の動きはとても丁寧だ。


「ふ、ぁう…ん、ん」


もっと快感を拾おうと無意識に腰を動かす。太子の目にはさぞいやらしく映っていることだろう。


「どうしたの、足りない?」


にやにやと口の端を吊り上げながら太子は意地悪く言葉を投げかけてくる。


「……んなわけあるか」


「この期に及んで意地張るつもり?そんなナマイキな子はいいものあげないよ?」


「……っ」


ぎろりと睨んでも効果がまったくないのは分かっているけど、ついそうしてしまう。太子は怯むどころかにんまりと笑って僕の頬にキスしてくる。


「もうちょっと我慢してて、久しぶりなんだからちゃんと慣らさないと」


くちゃり、ぐちゅ。そんな卑猥な音を立て指は狭い肉筒を拓き、そして緩い快楽を身体全体に響かせる。より強い快感が欲しくて視線で強請るけれど、太子には聞き入れてもらえない。


「やぁ…もう、いいから、いれてぇ…!」


「まだダメ」


「ひどい…あッ、ン…あうぅっ…!」


じりじりと弱い火で焦がされるような刺激ばかり与えられ、快感を知っている身体は苦痛を訴えた。


「たいしっ……おねがい、はやく…!」


もう恥ずかしいとか言っていられない、早く熱を収めないと気が狂ってしまいそうだ。


「…そんな可愛い声出して誘うなよ、止められなくなるだろ」


太子は仕方なさそうに笑い、服を脱ぐ時間も惜しいというようにズボンをずらして陰茎を取り出し待ちわびている後孔に押しつけぐっと腰を突き入れた。


「あ、ぁっ…!」


「くっ…やっぱキツいな…!」


久しぶりに受け入れたから圧迫感が凄まじいが、その感覚が僕の中を太子がいっぱいに満たしているのだと理解できて嬉しかった。大きく息を吸って吐き、もう離れないというように太子の背中に身体中で抱きついた。


「熱烈だなぁ」


「…散々さみしがらせた罰ですよ…!」


「はは、こんな罰ならいつでも受けちゃおう」


こうやって全身で太子とくっつきあっていると安心するのは何故だろう。欲を言えば素肌同士でくっつきたかったけど、そんな時間ももったいない。それにきっと後で嫌でも裸になるだろうし今は我慢しよう。


「……は、ァ、んんぁ…!アぅ…んぁあ!」


反らした首筋にちくりと痛みが走る。


「ぁ…たいし、すき…っ、や、ぁあ!」


「……今日は妹子がツンツンだったりデレたり大忙しだな」


「アンタの…せい、でしょうがぁっ…ひ、ンンっ!」


「妹子、ここ突かれるの好きだったよね…?」


「あ、いや、そこばっかり…!」


ひっきりなしに流れる嬌声は口づけのたびに止み、また甘ったるい調べを奏でていく。


「ン、あぁ…ア、ぁ……」


「妹子、私もイくよ…!」


「……あ、はっ…たいしっ…!」


うめき声と共に熱い飛沫が僕の中に叩きつけられた。荒い吐息が整え終わる頃にまた律動が再開され、夜は更けていった。



次に目覚めた時、僕と太子は布団もかけずに眠っていた。後ろから抱きしめてくれている太子の体温と、温かい気候のおかげで風邪を引かずに済んだらしい。


起きあがろうとして違和感に気がつく。


(は…挿入ってる…!)


太子を起こさないようにそっと抜こうとするが、一晩中交わったせいで敏感になっており、なかなか逃れることができない。と、その時半分ほど抜けた陰茎が突然押し込まれた。


「ひゃああっ!?」


「私の性欲からは逃げられないぞ、妹子」


「も、もう勘弁してください!夕べあんなにしたでしょうが…!」


「私が満足するまで付き合ってって言ったよな?本番はまだこれからだぞー、妹子」


ああ、僕の身体はどうなってしまうんだろうか。お願いだから手加減してくれないだろうかと思いながら太子に組み敷かれたのだった。

→あとがき
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