旧作部屋@
□貴方で満たされる
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目を覚ました妹子がまず気づいたのは朝服の下を脱がされていることだった。下着もつけていない。
次に気がついたのは四肢を縛られていること。後ろ手に手首が縛られ、開脚した格好で足首を縛る縄が柱にくくりつけられている。
上半身を起こして薄明かりに照らされた部屋を見渡すと、どうやらここは朝廷のあまり使われていない部屋らしい。
それで、どうして自分はこんなことになっているのか。
記憶を辿れば最後に覚えているのは上司に呼び出されて話をしたことだった。その時お茶を出されて、それを飲んだら気が遠くなって…。
考えるまでもなく薬の類が入れてあったのだろう。
とにかく誰か気づいてくれないだろうか。縄を力ずくでほどこうとしても、きつく縛ってあるせいで皮膚に食い込んで痛い。
それでも必死にもがいていると正面のドアがやけに静かに開けられ、入ってきた人物を見た瞬間妹子は言葉を失った。
「ようやく目が覚めたようだね」
自分のよく知っている上司だったのだ。人望が厚く部下から慕われるその男はぞっとする笑みを浮かべ、内鍵をかけて妹子のそばに歩み寄る。
「…何の真似ですか」
「おや、君は優秀だからすぐ分かるはずだよ」
「まさか…」
「君は私のものになるんだ。まずは身体を奪い、それから心も奪う」
妹子の頬に男の手が触れた。その手はひどく冷たい。
「私はね、太子が憎いんだ。私ができなかったことをいとも容易くやってしまったから。私の方がずっと君を愛しているのに」
妹子の目の前が揺らいだ。この男は狂っている。どんなに愛しているとしてもこんな一方的なやり方は許されるものではない。
「ある日私は思ったんだ、君を無理矢理私のものにしたら君はどんな顔をするだろうと。なんとしてでも君を手に入れたかったから、強引な手段を取らせてもらったよ」
男の目に愉悦の色が滲む。
「さて、お楽しみの時間だ」
男は妹子の朝服を掴むと遠慮なく引き裂いた。
「ひっ…!?」
「…やはり白くて綺麗な肌だ。いつも太子が触れていると思うと嫉妬で狂ってしまいそうだよ」
「やめてください!!」
「君に拒否権はない。大人しく私に抱かれなさい」
「……っ!!」