旧作部屋@
□頑張り屋の君だけど
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最近ものすごく忙しい。どのくらいかっていうと働き過ぎで倒れる人がいるくらい。
そんなわけで今、朝廷は深刻な人不足だ。
さすがにこんな状況で遊びに行けるわけもなく、私は必死に仕事をしているというわけだ。……馬子さんの監視つきで。
「太子、それが終わりましたらこちらもお願いします」
「あー…うん」
部下がひっきりなしに持ってくる大量の仕事をいつもの2倍の速度でさばいていく。書類に目を通し、印を押して、筆を滑らせる。
そういえば今日は外交が控えていた。嫌だなぁ、外交は本当に苦手なのに。
妹子にも全然会えてないし!もう!妹子不足だよ、寂しいよー…ぐすん。
「失礼します、馬子様」
ぱっと振り向くと沢山の書類を抱えた妹子の姿。私は仕事を放り出して妹子に抱きついた。
「いーもこぉぉ!!」
「嫌っ!オッサンが飛んできた」
「会いたかったよ妹子ぉ〜私もう寂しくて死んじゃうかと思った」
「そのまま死ねばよかったのに」
「ふぎゃっ、ヒドイ!」
「…小野、仲が良いのは結構だが早く書類を提出したまえ」
「あ、すみません。ほら太子、さっさと離れてください」
強引に引き剥がされ、ちょっと拗ねる。なんだようもっとくっついていたいのに、馬子さんの鬼。
「うむ、ご苦労」
「では、僕はこれで」
「ダメ!」
退出しようとする妹子の腕を掴んで引き止める。
「…太子、僕まだ仕事があるんですよ」
「行っちゃダメー!妹子は私と一緒に休憩するのー!」
「アンタも仕事中でしょうが!わがまま言わないでください!」