旧作部屋@

□頑張り屋の君だけど
1ページ/5ページ

最近ものすごく忙しい。どのくらいかっていうと働き過ぎで倒れる人がいるくらい。


そんなわけで今、朝廷は深刻な人不足だ。


さすがにこんな状況で遊びに行けるわけもなく、私は必死に仕事をしているというわけだ。……馬子さんの監視つきで。


「太子、それが終わりましたらこちらもお願いします」


「あー…うん」


部下がひっきりなしに持ってくる大量の仕事をいつもの2倍の速度でさばいていく。書類に目を通し、印を押して、筆を滑らせる。


そういえば今日は外交が控えていた。嫌だなぁ、外交は本当に苦手なのに。


妹子にも全然会えてないし!もう!妹子不足だよ、寂しいよー…ぐすん。


「失礼します、馬子様」


ぱっと振り向くと沢山の書類を抱えた妹子の姿。私は仕事を放り出して妹子に抱きついた。


「いーもこぉぉ!!」


「嫌っ!オッサンが飛んできた」


「会いたかったよ妹子ぉ〜私もう寂しくて死んじゃうかと思った」


「そのまま死ねばよかったのに」


「ふぎゃっ、ヒドイ!」


「…小野、仲が良いのは結構だが早く書類を提出したまえ」


「あ、すみません。ほら太子、さっさと離れてください」


強引に引き剥がされ、ちょっと拗ねる。なんだようもっとくっついていたいのに、馬子さんの鬼。


「うむ、ご苦労」


「では、僕はこれで」


「ダメ!」


退出しようとする妹子の腕を掴んで引き止める。


「…太子、僕まだ仕事があるんですよ」


「行っちゃダメー!妹子は私と一緒に休憩するのー!」


「アンタも仕事中でしょうが!わがまま言わないでください!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ