旧作部屋@
□頑張り屋の君だけど
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「少し太子の相手をしてやれ、小野。うるさくてかなわん」
「わーい馬子さん太っ腹!」
「もうぅ〜…分かりましたよ」
というわけで私室に移動し、思う存分妹子を抱きしめた。
「はー…やっぱり妹子のそばが一番落ち着くなぁ」
「まったくもう…」
呆れ気味の妹子の顔には疲労の色が濃く出ていた。この子の場合は上司と部下で板挟みだ、私よりよっぽど疲れているのだろう。
「妹子、疲れてる?」
「当たり前でしょう、人手が足りないんですから。猫の手も借りたいくらい忙しいです」
「早く皆復帰してくれるといいけどね」
「さて太子、僕は急ぎの仕事があるので失礼します」
「ええー!もうちょっといろよ寂しいだろ!」
「ダメですよ、お互い忙しいんですから」
「うー…」
妹子は足早に部屋を出ていってしまった。いつもならもっと一緒にいられるのに…仕事早く終われバカヤロー!
*
超過労働二週間目に突入し、ようやく人が戻り始め、慌ただしさが抜けてきた頃。
長時間の書類仕事で疲れた私は気分転換も兼ねて妹子の様子を見に行くことにした。
あいつ大丈夫かなぁ、倒れてないといいけど…。
次の角を曲がれば妹子の仕事部屋。と、その時床に書類が落ちているのを見つけ、それを拾い上げてみた。
(…妹子の字だ。でもなんで廊下にこんなものが?)
首を傾げ、落ちている書類を辿る。胸がざわざわする。なんだか悪い予感がするのはどうしてだろう。