Esperanza
□プロローグ
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イタリアにある豪華な家の中で事件は起こった。
床一面に広がる血。
なき叫ぶ声。
助けを求める者もいた。
けれどその豪邸にいたざっと百人程の人間が逃げる前に、助けを呼ぶ前に殺されてしまった。
約六歳程と見える小さな女の子によって。
少女の目に光は無かった。
そして虚ろな目で呟く。
『あれ?なんでゆかでねてるの?
ねぇ?どうしたの?おかぜひいちゃうよ?
ねぇ?どうしたの?みんな?
どうしてなにもしゃべってくれないの?
ねぇ?
どうしてあたしのてはあかいの?』
それはとても寒い雪降る満月のことの出来事。
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