小説:ジュンス片想い編
□Step by step
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Chapter 17. Step by step
「………え?」
静かな夜の宿舎に、ぼくの声が響き渡った。
なんやかやと忙しなく過ごす秋の終わり、冬に向かう容赦ない北風に覆われた東京。
ネオンで輝く眠らない街がさらに光で溢れる季節。
リビングのソファに並んで座らされたぼくとユチョンとチャンミンは、ジェジュンとユノから大切な話があると言われてゲームをする貴重な時間を削ってここに集まっていた。
仕事のことかなぁ。やっと日本でもがんばりが目に見えるかたちで報われてきたので、年長者ふたりとしては発破をかけておきたいところなのかもしれない。
年末に向けて韓国での活動も増えるし、細かいスケジュール調整のことかもしれない。体調管理も大切な時期だし、覚えることもたくさん…そういえばあの曲のブリッジもう一回確認しておこうと思ってたんだっけ…
というテキトーな気持ちで話を聞いていたため、もう一度訊きなおす羽目になった。
「なんて言ったの?」
となりに座ったユチョンがチャンミンと顔を見合わせて笑うので、彼の細い脇に肘鉄をお見舞いした。
まったく、邪魔なんだよユチョンめ。
ぼくとチャンミンの間に座るなんてホント空気読めないなぁ。
あっ、もう、チャンミンの腕に軽々しくさわるなよ!まったく、これだからアメリカ帰りは…
「冗談じゃないんだよ、ジュンス」
ユノが真面目くさって言うので、ふたりから渋々視線を離して彼を見た。
「ごめん。ホントに聞いてなかった」
となりのふたりがまた笑う。
ユノはそれを咎めるためか場を仕切りなおすためか、コホンとひとつ咳払いをした。
「大切な話だって言っただろ。ちゃんと聞いて」
「はい。ごめん」
だってユチョンが…
「おれたち、つき合うことになったから」
ユチョンが、チャンミンにちょっかいばっかりかけるから…
………んっ?