小説:ジュンス片想い編
□Sky
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Chapter 13. Sky
毎年思ってるような気もするけど、今年の夏は特に暑い。
空は遥か高くまで晴れ渡り、夏を青く、美しく彩って。
足下に広がる海も、その青を湛えて光り輝いていた。
なんて綺麗なんだろう。
死ぬほど暑くて、とにかく眩しい。
夏はだいすきな季節だ。すべてがキラキラして見える季節。
サイパンの海は、特に青いような気がする。
深いのに爽やかな青。たとえるなら…チャンミンみたいな………
はぁ。ぼくってつくづくチャンミンバカだよなぁ。
この美しい幻想のような景色のなかにいても、考えるのはチャンミンのことばっかり。
足下で砕ける波も、頬を撫でる冷たい風も…
ぜんぶが彼のためにあるみたいに、そこにいるだけでますますカッコよく見えてしまう。
それともチャンミンがいるから景色は綺麗に見えるのかな。
もし、チャンミンが望むのなら、ここにあるすべてをあげたいよ。
ずっとここにいたいと言ってくれたら。
ぼくとここにいたいと言ってくれたら。
きみをこのなかに閉じ込めて、いつまでもふたりで…この燦然と輝く夏空の下で。
なんてね。
どこから突っ込んだらいいのかわからないほど自由な妄想。
ぼくの妄想癖は、ここ最近かなり重症になってきている。
それもこれもチャンミンのせいなのだ。
チャンミンがあんなこと言うから。あんな、優しいこと…期待してしまうようなことを。
ぼくは応援してますよ、ヒョン。
チャンミンの考えてることは、ぼくには理解できない。
あの言葉の真意も、未だにわからないままだ。
ぼくの恋自体を応援するというよりも、男がすきでも偏見持たないよ、という主旨の言葉だったんだろうと思いながらも…
心のどこかで、期待してしまう。
もしかして、もしかしたらと考えてしまう。
可能性はあると思う、というあの言葉を、信じたくなってしまうよ。
チャンミンはぼくを混乱させる。
彼をすきなだけでぼくは勝手に混乱するっていうのに、わざわざワケのわからない言葉で掻きまわしてくるのだ。
ぼくを傷つけまいと思ってくれてるんだろうか。
期待したぶん、叶わなかったときの失望は当然おおきいのに。