小説:ジュンス片想い編
□Heart, mind and soul
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Chapter 10. Heart, mind and soul
はぁ〜、というおおきな溜め息が、部屋に響き渡った。
それは静寂のなかに溶けて、空気をすこし重くする。
部屋には四人いて、各々自分のことをしているので、めずらしく宿舎は静まり返っていた。
暫くの沈黙のあと、ソファに寝転がって雑誌を捲っていたユチョンが、溜め息の主のほうへひょっこり顔を覗かせる。
「どうしたの、ユノヒョン」
ユノはテーブルに座り、両肘をついて向かい側にいるチャンミンをみつめている。
みつめられているチャンミンは参考書を熱心に見入っており、まったく気にしていないようだった。
「なんかジェジュンがいないと静かだなぁ、と思ってさ」
そう言ってもう一度溜め息をつくユノ。
ユチョンは日本語で書かれたファッション雑誌を閉じて、壁に掛けられたカレンダーを見た。
もう春も終わろうとしている。これから梅雨に入り、憂鬱な雨と湿った熱気に苛つかされるようになるだろう。
ジェジュンを置いて日本にきてから、半月ほど経っていた。
寂しさはあるが、仕事も忙しいし、まぁ言ってもたかだか半月なので、晩ご飯が毎回出前なこと以外はそう違和感を感じることはなかった。
ユノ以外は。
ぼくはこんなに活力のないユノを見るのははじめてだった。
どうにも寂しいらしくて、この頃のユノはことあるごとにジェジュンの名前を口にし、早く韓国に帰りたいとぼやく。
そのくせジェジュンから電話がくると急にリーダーぶって、こっちはうまくやってるよ、おまえは大丈夫か?と男らしく気遣うもんだから、こちらとしては可笑しくてしかたないのだ。
ジェジュンはなんとなく気づいてるんじゃないかな。明らかにはしゃいでるもん、電話がきたときのユノ。