小説:ジュンス片想い編

□明日はくるから
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Chapter 7. 明日はくるから


 宿舎は凍ったように静かだった。

 別に誰もいないわけじゃない。五人いっしょに仕事から帰ってきて、みんなまだ起きている。
 今は夜で、明日も早くから仕事で、順番にお風呂に入ったり明日の仕度をしたりする時間だ。

 いつもならゲームしたり、みんなで音楽を聴いたりしていちばんうるさくなる時間。
 ぼくがノートに文字を書くのがいちばんおおきな音だなんて、普段では絶対有り得ないことである。

 誰も喋っていない状態がこんなに静かだとは知らなかった。
 ユノは雑誌を捲っていて、ジェジュンはMP3プレイヤーで音楽を聴いていて、ユチョンはピアノを弾きに別の部屋に行っていて、ジュンスはお風呂。ぼくは勉強。

 普段は恋しくなる静けさが、肩に重い。

 ユノとジェジュンが沈黙し続けていることが怖ろしかった。

 いつもならふたり揃えば喋らずにはいられないほど仲よしなヒョンたちが、おおきなソファの端と端に座っている。お互い無言でそれぞれ別のことをやっている姿は、普段を知っているだけに異様な光景だ。

 真面目で友だち思いのユノと愛情深くて思いやりのあるジェジュン。
 ふたりが喧嘩するなんて考えられない。同じ仲よしでも、ジュンスとユチョンはよく喧嘩してるけど…

 なんで黙ってるんだろう?

 訊けない。
 ぼくにはユチョンのように空気を壊さず場を把握する器用さはないし、ジュンスのように空気をぶっ壊して何もかも明白にさせてしまうような無謀さもない。

 マンネのぼくには話したくないことだってあるだろう。それに、ふたりの間で起こってることを知ってしまえば、解決するまで自分もいっしょにぎこちない空気を味わうはめになる。

  おとなしくしてよう。下手に巻き込まれるのもいやだし。

 参考書のページを捲る。大学に受かったからと浮かれてはいられないのが現実。入ってからのほうが大変なのだから。特にぼくのように毎回講義を受けられないような場合には。

 
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