小説:ジュンス片想い編

□Stay with me tonight
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Chapter 1. Stay with me tonight



 最初から彼は、ぼくにはあまりにも眩しかった。

 「あの…ジュンス、先輩?よろしくお願いします」

 おずおずと差し出された手。
 ぼくはぼんやり彼の顔をみつめていた。

 見惚れていた、と言ったほうが正しいだろうか…。

 「ジュンス?」

 ユノがとなりでぼくの脇を突っつく。
 目の前の少年に話しかけられているのが自分だということにやっと気づく。

 しかし、改めて彼を見ると、やっぱり…
 思考がとまってしまう。

 「あ、あの、がんっ、ばります、ので…ぼく、まだまだ、先輩がたには追いつけませんけど、一生懸命っ」

 一生懸命しゃべってる姿がいじらしい。
 小鹿みたいに円らな目が、うるうるとぼくに何かを訴えてくる。

 ユノにまた脇腹を突っつかれた。

 「おい、ジュンス。何か言えよ」

 …え?ああ、そうか、ぼくが黙ってるからこの子はこんな泣きそうな顔してるんだな…。
 瞳なんか月のない夜の星空みたいにキラキラして、吸い込まれそう。

 とにかく彼は可愛かった。
 さらさらの細い髪、乳液みたいに白い肌、まんまるな瞳、整った鼻、可愛らしいくちびる…
 手足だって細くって、背もぼくと同じくらいかそれよりちいさくって、肩幅だって…

 「ジュンス!」

 目の前でユノの手が振られ、やっともう一度現実に戻ってきた。
 ユノの困惑したような、訝しげに歪む目と視線がぶつかる。

 いかんいかん、しっかりしなくちゃ…
 このなかでは先輩なんだもんね、ぼくたち。

 「あ。うん、ごめんねボーッとしてた。よろしくね、こっちこそ!がんばって練習してさ、おっきいグループになろーね。わかんないコトあったら何でも訊いてよ!あ、ぼくのこと先輩なんて呼ばなくていいから。気軽にね、ジュンスでいいよジュンスで」

 ポカンとした顔。も、可愛い。
 一気にしゃべりすぎた?

 次の瞬間、彼は笑った。
 天使みたいに(見たことないけど)。
 今まで生きてきたなかで見た、いちばん綺麗な人間の表情。

 「はい、ありがとうございます。ジュンス…ヒョン」


 こんな感じが、チャンミンとのはじめての出逢いだった。…気がする。
 正直ボーッとしてたので、あんま覚えてない。
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