小説:ジュンス片想い編
□Rising sun
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「ヒョン!ユノヒョン!電話鳴ってます」
ぼくが夢から帰ってきたときには、既にチャンミンは起きて、自分の耳元で鳴っている電話の音にも屈せず眠り続けるユノの肩を叩いていた。
「ん〜…何?」
「あ、すいませんジュンスヒョン。起こしちゃいましたね」
リリリリン!リリリリン!
ぼくを見て申し訳なさそうに眉を下げてから、またユノを起こしにかかる。
「ユノヒョン!」
「んぁ?」
やっと意識を取り戻したユノは、起き抜けの間抜けな声をあげてチャンミンを見る。
チャンミンは目を覚ましたユノに優しく言った。
「電話です」
寝起きの頭で一生懸命考えるユノ。
一秒、二秒…
リリリリン!リリリリン!
「…え、電話?今何時?」
まだ5時にもなっていない。
さっきから一時間しか経ってないのか。なんかいやな夢見たような…
ユノは寝返りをうってうつ伏せになり、携帯を手に取った。
「こんな時間?!誰だよ、いったい…」
くしゃくしゃと髪をいじりながら携帯を開くと、ユノの顔つきが変わる。
一瞬戸惑うようにとまった後、通話ボタンを押した。
「ヨボセヨ?ジェジュン?」
…ジェジュン?
自分のベッドに戻ろうとしていたチャンミンが、足をとめて振り返る。
となりの部屋で寝てるはずのジェジュンから電話?
ぼくもまだ眠りたがる目を擦りながら起き上がった。
ふとチャンミンを見ると、タイミングよく目が合った。彼はぼくに向かって肩を竦めてから、心配そうにユノをみつめる。
なんだか知らないけどチャンミンの表情にほっとした。
よかった、さっきのは夢だったんだ…ここにいて、目を合わせてくれる。
で、どんな夢だっけ?
「え、何?もう一回…ジェジュン?今どこにいるの?」
ユノの様子を見てチャンミンは引き返し、ぼくのとなりに腰を下ろした。
ぼくのベッドに、チャンミンが…
うぅっ、朝から心臓に悪いなぁ。同じ布団の上にいるのなんて…映画の撮り以来?
あれもしあわせというより恥ずかしかったなぁ。チャンミンといっしょの撮影でうれしかったけど。
しかし撮影といえば、ドラマといい映画といいどれもこれも何かの陰謀かと思うくらいチャンミンとのシーンが多いんだよなぁ。
意外と普段よりもふれ合うことが多くて、物凄い意識しちゃって台詞も飛んじゃうし、何かと大変なんだよね…ユチョンとなら絶対もっと軽快にできるのに。
だけどやっぱりユチョンにあの役は…
「…うん。ジェジュン、落ちつけ。大丈夫だから。…大丈夫だよ」
ユノは電話をしながらベッドを降りて、着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
チャンミンは肩と肩がくっつきそうなほど体を寄せてきた。
「何かあったんですかね?」
耳元で囁かれる声。首筋に息がかかって…なんだか、これはヤバイ。
「さぁ…」
それしか声が出なかった。ドキドキが激しくてそれどころではない。
ぼくの生涯でいちばんおおきな秘密を知ってからも、チャンミンは至って変わらない態度を示してくれている。
それはすごくうれしい。すごくうれしいんだけど…
ちょっとこれは近づきすぎじゃない?
そんなに気にならないものなの?
もしかしてチャンミンにとっては結構どーでもいい?
ぼくが思うほどトンデモナイことじゃないのか?
男が男をすきになることなんて。
同じチームのメンバーに告白同然のことをされるなんて、意外と…日常茶飯事だったりして?
ないない、そんなわけない!