美しい名前

□夢の花
2ページ/6ページ

部屋に戻ってエースのことを想った。

そしてマルコのことも。

マルコは私がエースを愛してるってことを一番よくわかっているはず。

それを知ってて、無理だってわかっていて私に想いを伝えてくれた。

どんなに勇気がいることだろう…

それに比べて…

私は考えた。

考えて考えて。

どうしたら誰も傷つかないで幸せになれるか考えた。

考えて考えて…

きづいた。

そんな方法はどこにもないんだって。

私は部屋をとびだした。

いてもたってもいられなくなった。

マルコにどうしても伝えなければならない。

「マルコっっ!」

マルコは相変わらず書き物をしていた。

マルコはいつだってみんなの支えであろうとする。

白髭を仲間を全身全霊で守り自分のことは二の次だ。

こんな人を愛せたら私は幸せになれるのかもしれないな。

ふっとそう思った。

「どうした??」

「あっ…いまいいかな?」

優しく微笑むマルコ。

「大丈夫だよい。覚悟はついてる」

私はマルコと自分が重なって辛くなった。

報われないとわかっていながらどうして人は人を好きになってしまうんだろう…

「あのね。マルコ、私ね考えたの。
みんなが幸せになれる方法はないかって。
考えて考えて…
でもそんなの無理だって思った…
エースが私を選ばないように私もマルコを選べない。
マルコはなんていうかとても大事な人なの。
でもそれはエースを想う気持ちとは全く違って…
例えるならお父さんって感じで…」

途端にマルコが爆笑しだした。

「ちょ…おまえ(笑)
いくらなんでもさすがにお父さんって(笑)
そりゃないだろよい(笑)」

「あっごめんなさいっっ!!上手い例えが見つからなくて…」

「でも…わかったよい。
スッキリしたよい。」

マルコは本当に晴れ晴れとした表情だった。

「おまえを困らせたかったわけじゃないんだ。
ただ俺の気持ち伝えときたくてよい。
俺達は海賊なんだ。
いつ死ぬかもわからないだろ。
だから言えてスッキリしたよい。
人生に悔いは残さねえってやつだよい」

ハハハと笑うマルコ。

私は決心した。

「マルコ!本当にこんな私を好きになってくれてありがとう!!
私も逃げない!!
エースに…私の気持ち伝える!!」

「それがいいよい!
お前はエースの前でもっと素直になれ!!」

「マルコのおかげで勇気がでたよ。本当にありがとう…」

私はマルコをギューッと抱き締めた。

マルコはやめろよいといったけどその声はとても小さくて私は聞こえないふりをして抱き締めた。

「おまえ、いままで通りでいいからよい。
俺に変な気をつかったりよそよそしくなんかするなよい!?」

「うん!ありがとう!
マルコとオヤジはこの世界での私のお父さんだから!!大事な人だからね!」

「本当に残酷な女だよい(笑)」

私はマルコに頭をなでてもらい部屋を後にした。

エースが帰ってきたら必ず気持ちを伝える!!

もう逃げない。

エースに…

早く逢いたいよ。

エースはきっと今頃、私のことなんてなーんにも考えてないだろうな。

また綺麗な女の人とイチャイチャしてるかも…

でももうそんなの気にしない。

エースごめんね。

きっと私はエースを困らせる。

最低な妹になろうとしてる。

でももう無理…

エース。

エース。

エース。

エース。

私は夜空を見上げた。

今日はとくに星が綺麗にみえる。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ