美しい名前

□孤独な夢
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船から降りれねえ奴が上がれるわけねえ。

俺は当たり前のようにユリアをおぶって上がろうとした。

すると自分であがるという。

上からみていたが必死にロープに捕まって頑張ってるユリアは何だかかわいくて笑えた。

結局、俺はロープを引っ張ってあげてやった。

こんなんで俺を守るとかさっき言ってなかったか?

また何だか可笑しくなった。

下ろす時にユリアの腕を引っ張ったら思わず抱き締める形になってしまった。

フワリといいにおいがして何だか温かくて柔らかくて…

そしたら意識が遠のいてしまった…

不覚だ…

そして部屋で寝ていたらマルコがきて、隣の部屋をユリアに使わせるよい。と言い残して出ていった。

いやお前の部屋の隣にしてやれよ!!

そういうと不思議そうな顔してやがった。

鈍い野郎だ。

俺はなんか無性にユリアに会いたくなって隣の部屋の扉をノックした。

しばらく待ったが何の反応もない。

心配になった俺は扉を開けて中にはいった。

バタン。

閉まる扉の音がやけに響く。

ユリアはベットで寝ていた。

うなされてるいるようだった。

「一人にしないで…」

はっきりとそういう声が聞こえた。

泣いてるようだった。

目をさまし呆然としているユリアに声をかけた。

かなり驚かれ、そしてかなり警戒されちまったようでユリアは深く毛布をかぶっちまった。

そりゃそうだ。

突然、男が部屋にいて怖い夢見るなら俺の部屋にこい!…だなんて。

完全にストーカーだろ。

俺はあれこれ弁解した。

しまいにはルフィとの昔話までだしちまった。

なんか俺はおかしくないか?

らしくねー。

俺はとりあえず##NAME 1##の部屋をでて宴にくる女たちの引き揚げ作業を手伝いにいった。

どいつもこいつも媚びた面しやがって本当に毎回、毎回オヤジの趣味の悪さを疑っちまう。

女たちは慣れたもんで胸の大きく開いた服を着て意気揚々と乗り込んでくる。

男なら絶体におとせる!といった自信でもあるのか?!

まぁいっか。

他の仲間たちは鼻の下伸ばして喜んでるしな。

俺はさっさと女たちを引き揚げるとユリアの部屋に戻った。

だがもう既に甲板に向かったのか部屋にはいなかった。

俺は足早に甲板に向かった。

途中、見たことのある女が絡み付いてきた。

離れろと言ったけど離れてくれないからそのまま引きずって歩いていった。

無性にユリアに逢いたかった。

また泣いてるんじゃないかと心配になった。

甲板につくとユリアはオヤジの横にいて顔を真っ赤にして俺と兄妹になったことをみんなに告げていた。

よしっ。

これで悪い虫はつかねえ。

あとは頑張ってマルコを落とせ!!

しばらく座って酒を飲んでたらフラフラしながらユリアがどこかへ行くのが見えた。

俺は慌ててマルコに後を追えといいにいった。

マルコはなんでだよい?と普段よりさらに惚けた顔してやがったが俺の言うとおりユリアのあとを追った。

これで二人は…

なんか胸が痛い。

というか痒い?!

よくわかんねえ。

俺は何故かマルコの後を追った。

またさっきの女がまとわりついてきやがったからそのまま引きずって…

マルコはもういないようで、ユリアは廊下に座って一人で歌っていた。

聞いたことのない曲だが妙に耳に心地よかった。

まとわりついてた女を追い払った。

ユリアは気分が悪いという。

でもそれは嘘というか建て前で、本当はマルコとあまりうまくいかなかったのかもしれないとぼんやり思った。

また泣き出しそうな寂しそうな顔を見てたら思わず頭を撫でてしまった。

まだまだチャンスはあるさ!

そしたら上目遣いで俺を見上げるユリアがあまりに…………

俺は抱き締めて壊してしまいたくなった衝動をおさえた。

こいつは妹だ。

そしてマルコに惚れてる女だ。

俺がまだオヤジの命を狙ってた頃、マルコの言葉に救われた。

白髭海賊団に入るきっかけはマルコが作ってくれたのかもしれない。

マルコは強い。

そして信用できる。

本当にいい奴だ。

俺は理性を保つためユリアの腕を無理矢理引っ張って甲板に戻り肉を食わせた。

腹一杯になれば元気になるさ!

マルコのやつは素知らぬ顔して女と飲んでやがったがユリアは気づいてないみたいだ。

いつのまにか俺の肩にもたれかかってユリアは眠ってしまった。

スヤスヤかわいい寝息をたてて眠る姿はまるで子供だ。

ルフィも普段は生意気いってても寝顔は可愛かったなぁ…

そんなことを思いながらいつのまにか俺も意識が遠くなってきた…



目覚めるとユリアが隣にいて俺の手を握っていた。

また怖い夢みたのか?

そう聞こうと思ったがユリアがニコッと笑っておはようって言ったから…

大丈夫だなと思った。
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