幸せ崩し
□優しさとは何たるものか
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自分を守る術を他に知らなかった。頭が良かったといっても兄たちよりは出来が良かっただけであり、所詮は子ども。考えつくことも同じようなことばかりである。さらには深く考え過ぎてしまう質のせいで、思考の迷路に陥ってしまいがちであった。おかげで新しい策はなかなか出来上がらない。
結局、長時間悩むくらいなら“腑抜け”なままでいいだろうということになった。「優しい」と褒めてくれる人だっているのだから。
しかしある日、僕は迷路をさまよった。
僕は優しいと形容される度に、反吐が出た。誉められて嬉しいはずなのに、何故だろうか。
迷路は案外簡単に解けた。そのとき読んでいた本に書いてあったのだ。優しさは弱さの表れだ、と。
もしそうならば、確かに僕は優しいのかもしれない。では、優しいなんて言葉は褒め言葉ではない。つまり、「優しい」などと褒めたふりをして本当は僕を皮肉ってたのではないだろうか。
――お前は腑抜けだ、と。
To be continued....