凍てつくように痛い。
とはこの事だろう。
もっと分かりやすく言えば、身の程の大きさの氷を全身に押し付けられているような。
まさに、今。
そんな状況なのだ。
「………。」
リオンは黙っている。
私を睨みながら。
もう何時間、こうして睨まれているだろう。視線が痛い。身体に穴が開きそうだ。
一歩後退すれば、リオンも一歩前進する。さらにまた一歩後退したらトンッと背中が壁に当たった。そうしてリオンは私の顔のすぐ側に手をついた。
ついに逃げられなくなった。せめて視線だけでも逸らして逃れようとした私の頬を彼が暇なもう片方の手で捕まえる。
「……ウッドロウやスタンと。随分と楽しそうだったな」
冷たくニヒルに口端を上げながら彼は言った。頬を撫で、顎を掬い、顔を近付ける。
怖いよ、リオン。
言葉はおろか、声も出やしない。私はまるで金縛りにあっているかのように動けない。
「僕は所詮除け者か。良い度胸だな?」
彼はまた、ニヒルに笑う。
彼はそう、嫉妬しているようなのだ。
「…違うよ!あれは…っ!」
弁解さえもできない。
リオンは私の唇に自分のそれで触れることで私の言葉を遮った。
「何もしていなくとも、僕のいない場所で僕以外の人間と一緒に居たことは事実だ。」
言って彼は、再び唇を啄む。
「よって仕置きが必要になるな。覚悟を決めろ。」
言って彼はまた、今度は深く口付けてきた。
彼は、嫉妬に狂い始めたら止まらない。
麗しくも、狂おしい。
(私は貴方だけだというのに)
( 僕だけを見ろ。)
end.
ちょっとヤンデレなリオンも良いかもと思った妄想←
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