novel

□冬萌え
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つと、目が醒めた。
いつもであれば、そうそう真夜中に中途覚醒などしない、謂わば俺は熟睡型だ。ヘッドポートに追いやった携帯を取り出して時間を確認すると、夜明けまでは遠い時間。俗に言う草木も眠る丑三つ時。名の表す通り、あたりはシン・・・として、物音一つしない。 ただ、ひとつ隣で眠るしえみを除いては。
掛け布団が小さく上下する。剥き出しの肩が、レースカーテン以外に遮蔽物のない月明かりに仄かに照らされていた。立春も近いとは言え、まだまだ寒い。想いを重ね合った時の仄かな赤みは、羽毛のような温かさすら残さずにして月明かりの許に真白い。触れると、ゾッとするぐらい冷たかった。冷気に晒され続けた白くまろい肩に、毛布をすっぽりとかけた。そして、毛布ごと彼女を抱き締めた。


「まだ冬だってのに、そんなに焦ってどうするんだよ。」


しえみの耳許でそう囁けば、彼女は小さく身動ぎをして、俺にすりよってくる。寒いのだろう。当たり前だ。覆うものを奪われ、白い肩を出してそのまま落ちるように寝ていたのだから。奪ったものは言わずもがな、野暮というもの。

身体が震える。流石に俺も寒い。毛布の中に潜り込んで冷えた身体が温もってくると、心地よい睡魔が身を襲う。しえみを抱き込んで、つと窓を見る。昨日の天気予報では、日を跨いだ今日は晴れるらしい。待ち遠しい春に憧れた新芽が見られるかもしれない。明日は休みだから、しえみと庭に降りてみようか。

冬萌えを探しに。



fin


それなりに、ベールで包んだのでR指定はいらないですよね?
うん、モブ燐。・・・・・orz なんか燐が理知的だ。
きっと、彼は雪男のスパルタで勉強したんだよ(笑)




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