FF

□Restart
5ページ/10ページ







到着した時には真上にあった筈の太陽




それが、いつの間にか、

西へと沈もうとしていた。




今回も、長居をし過ぎてしまったらしい









「また、来るよ…って言っても、アンタ達には聞こえてないんだろうけど…」





けれど―



離れがたくて、





―せめて、陽が沈むまで




と思い、踵を返す。






そんな時だった。







「ねぇ、お兄さん。何で、こんな寂しいとこに独りで黄昏てるの?」




荒野に全く合わない、


 柔らかな、


  鈴のような声だった。



「…悪かったな。ほっといてくれ」




相手をする気なんて起きなくて、


愛想も無く言い返す。






 すると、





「可愛くねぇ〜なぁ〜。眉間に皺ばっか寄せて、溜め息ばかりついてると幸せが逃げるぞ〜」





また違う声がした。



 今度は、




まるで、アイツみたいな軽い口調で―






「余計なお世話……っっ」




言い返そうとして、



声の主達を捉えた瞬間、息を忘れた。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ