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□Restart
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『―クス、ザックスってば』
心地良い、温かい声が響いてくる。
『こら、また寝坊するつもり?』
そう言って、
クスクスと笑う彼女は相変わらず
屈託のない微笑みを浮かべていた。
『寝坊って、酷いな。頑張ったんだから―少しくらい休ませてくれよ』
もう少し、あと少し、と
この微睡みに浸っていたくてそう言うと
『もぅ、置いて行っちゃうよ』
ちょっと呆れたような声が返ってきた。
“置いて行く”?
『置いて行く、って何処に行くんだ?』
『気になってる、でしょ。彼のところ、だよ』
彼女のいう、『彼』
思い当たるのは、
後にも先にも
『アイツ』しか考えれなくて
去って行こうとする彼女を追いかけ
俺達は開かれた扉の先へ進んだ。
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