BOOK
□雨の日だって恋日和
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玉森side
「玉ぁーー!!!」
「うざいよ、鼻」
俺に抱きつこうとする宮田を軽くあしらって雑誌に目を移す。
「玉、せっかく玉の家でラブラブ☆デート中なのに・・・」
「・・・お前が勝手に"雨だから"なんて理由付けて家に来ただけだろ」
「しかも誰もいないなんて・・・二人っきりだね、玉!」
「うわホントきもい」
雑誌の中で見せるような表情はできねえのかよ、なんて思ったりもするけど、
――逆に宮田が格好良かったら、俺・・・
困る。
そんな事を思っていると、宮田が"あっ!"と大きい声を出す。
無駄に通る声だから、なんかむかつく。
「それ、俺・・・」
「っ、ちょ、」
「玉、俺のページ見てたの!?」
俺が見ていた雑誌を取り上げて、ほら!俺じゃん!!なんて言って笑う宮田。
なんだか上手く言い返せなくて、カァッと赤くなる頬。
「・・・たまたまだし」
「え、だって」
「・・あー、忘れろっ!」
"第一、お前がいつもそんな顔してるから、真面目な顔している写真に目が行っただけで・・・"、
そう続けるけど、宮田があんまりにも嬉しそうな顔をするから、それ以上は言えなくて。
「玉ー、大好き!」
「・・・俺は別に好きじゃない」
その顔に弱い自分にもイライラして、好きじゃない、なんて言って外を見た。
窓から見える、雨。
ザアザアとどんどん音が強まる。
一人だったらきっと憂鬱だったろうな。
今日は、宮田が隣に居たからー・・・
なんて絶対言わないけど。
宮田の方を向けば相変わらずニコニコしている。
"玉のツンデレ〜"なんて言ってるけど無視。
俺は降り続ける雨音に隠れるくらいの声で、そっと呟く。
「ホントは好き、だけどっ」
「ん?玉、なんか言ったー?」
「・・・何も言ってないし」
どんな天気の日も、どんな気分の日も。
―――君がいれば、幸せだから。
(後一回しか言わないからな。・・・大好きっ)(え、玉、)(照れるから何も言うな!)
((そんな二人の幸せ日和))