2

□巡りし光の行方10
1ページ/2ページ

「夢…だと?そんな不確かなもので…」
一通り説明すると、白哉は呆れたようにそう呟く。
「兄を信用したこと…早計だったかもしれぬ」
散々な言われような気がするが、これで恐らく間違いないだろう。
「本当…なんだな?四十六室って奴が日番谷を殺したの」
「…」
沈黙は肯定…
あの夢は、すべて真実なのだ。
そしてその事はこの男に大きな傷を残している。
でなければ、ほんの少しその話題に触れただけであんなに動揺するはずがない。
「日番谷は…冬獅郎は、優秀な死神であった。処分されなければならない理由など一つもなかった」
ただ、多くの信頼があっただけ。
その信頼がいつか仇になるなど考えたこともない。
だが四十六室は違った。
危険の芽は摘むべき…
そんな無情な命を突きつけた。
四十六室は絶対。
我らに抗う術はない…
「それが可笑しいって言うんだよ。そんなのが最高機関だなんて絶対間違ってる」
「隊長は全員…そう思っている」
「だったら!」
そう…疑問に思わないわけがないのだ。
理不尽な命を下した彼等を、何故信じられるだろうか。
だが、それは掟。
死神にとって、何にも代えられぬもの…
そんなとき、ひらりと舞い降りる黒い影があった。
地獄蝶だ。
「なんだ、こいつ…」
「…緊急召令だ」
至急一番隊舎へ集合せよ。
それは他でもない総隊長直々の通信。
…胸騒ぎしか、しない。
あの日も…日番谷暗殺の命が下った日も、こうして直々の呼び出しだったから…
「私は行く…兄はあまり派手な動きをするな」
「ああ、わかってるよ」
「まずは…冬雪を見つけだし保護することだ」
そう言い残し、白哉は姿を消した。
わかっている。もし四十六室に冬雪のことがばれたら危険だ。
暗殺を命じた相手の転生者…再び狂刃が向けられる可能性は十分にある。
(待ってろよ…)
必ず助ける。ルキアも…冬雪も。
守り抜いて見せる。もう誰も傷つけさせない。
そして、一護もまたその場から走り出した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ