2

□巡りし光の行方9
1ページ/3ページ

一護は手にした愛刀をしっかりと握りなおす。
相対するは白い羽織の男。
朽木白哉…
この男と対峙するのは二度目だ。
一度目は破れたが、今度は負けるわけにはいかない。
「黒崎一護…氷輪丸を持ち出したのは貴様か」
「は?氷輪丸?」
刀を構える一護に対し、白哉は構えないまま。
口を出たのはどこかで聞いた名だ。
「氷輪丸…そうだ!!銀色の子供の斬魄刀!!」
そう…夢だ。
夢にその名が出てきた。
そしてその持ち主である銀色の子供の正体が夜一に聞いた少年であるのなら…
日番谷冬獅郎…冬雪の前世の姿…
「氷輪丸は封印?されたんだろ?それはてめぇらの方が詳しいはずだ」
「…どこでそれを聞いたか知らぬが、確かに氷輪丸は封印された。だがその封印が解かれ持ち去られた…貴様ではないのだな」
封印が解かれ持ち去られた…
封印というものがどんなものか知らないが、恐らく早々簡単に解けるものではないのだろう。
だがそれが何者かの手によって解かれたというのならば…
思い当たることは、一つだった。
「冬雪…」
かつての主…
魂の奥底に残る繋がりが封印を解いたか、はたまたなにか別の要因か…
なんにせよ、仲間達の中でそんなことが出来そうなのはあの少女だけだ。
「冬雪…あの子は冬雪というのだな…よい名だ…」
いつかのルキアと同じ言葉。
そして…同じ悲しげな表情…
あくまで警戒は解かないまま、斬月をおろす。
今すべきは、戦うことではない気がした。
「なぁ…日番谷冬獅郎は四十六室ってのに殺されたのか?」
「っ!!」
白哉が初めて見せた明らかな動揺。
あの夢は…真実なのだろうか…
「貴様には関係のないことだ。我らにとって四十六室の命は絶対…貴様を排除し、ルキアを処刑する!!」
白哉の手が腰の刀に伸びる。
だが、一護はそれに構わず声を張り上げた。
「わかんねぇよ!!命令だったら大事な仲間も、妹も!!平気で殺すのかよ!!」
わからない。
命令がそれほど大事なものなのか。
その命令は本当に正しいのか。
「疑問に思わねぇのかよ!!その四十六室ってやつを!!」
「知った口を利くな!!」
白哉は感情をむき出しにする。
怒り、悲しみ、苦しみ…
彼を…彼らを縛る罪の鎖…
「貴様にはわかるまい…愛しきものを死に追いやり、今尚妹を殺さねばならぬ私の痛みなど…」
「ああ、わかんねぇよ…だけど、一つだけわかる」
ここでいがみ合っていたところで事態はなにも変わらない。
強引に突破してルキアを助けたって、きっとなんの解決にもならない。
真意を突き止めるしか…ないのだ。
「四十六室はどこにあるんだ?俺はそいつらを止める。ルキアを必ず助ける」
「…」
白哉は無言のまま僅に乱れた着物をなおす。
すでに落ち着きを取り戻したのか、その表情から感情は読み取れない。
「…まずは貴様の話を聞こう。冬獅郎のこと…どこで知った」
互いに刀を納める。
事の真相に、一歩ずつ確実に近付いてきていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ