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□巡りし光の行方
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その日、一つの命が失われた。

部下を守るためその身を投げ出した少年。

誰からも愛された幼き銀の死神は、最期まで彼らしくあった。

誰もがその死を嘆き、悲しんだ。

そして、心から願った。

巡りし命が幸せであるように…

戦いなどない、平和な世で

ただ…幸せで…




その日から十数年。
現世にて一人の少年が死神の力を手にすることになる。
そしてその裏側…
同じく力に目覚めようとする一人の少女がいた…



トントンと、控えめなノックの音に少年は呼んでいた本から視線を上げた。
入室を促せば、姿を見せたのは銀髪の少女。
「お兄ちゃん…」
「どうしたんだい冬雪?」
少女―冬雪は、大きな翡翠の瞳を不安げに揺らし、おずおずと足を踏み入れる。
「なんだか…変なの…」
「変?」
「大きな力を感じるの。それが何かわからないはずなのに…懐かしく感じるの…」
少年は妹の言葉に僅かに眉を寄せる。
確かに今夜は空気が震えるような感覚を覚える。
どこかで大きな力が生まれたようだ。
妹は強い霊感の持ち主だ。
それを敏感に感じ取り、不安になったのだろう。
「大丈夫だ。何も心配することはない。お前のことは僕が絶対に守るから」
「…うん」
妹の柔らかい銀糸を梳いてやれば、その表情に少しだけ笑顔が戻った。



失われた命と新たに生まれし命

力を手にした一人の少年と兄妹が出会うとき

新たな物語の幕が開ける
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