Ama storia di un dragone e l'uccello

□Ama storia di un dragone e l'uccello
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−1週間後−

『さぁ、ワイルド・タイガーとバーナビー・ブルックスJr.が、犯人を追いつめましたぁっ』

「観念するんだ!」

ワイルド・タイガーが犯人に向かって叫ぶ。その声は、
内側から明るく光っている窓を震わせた。
近くにいる市民からは、少しの悲鳴が上がる。

「おじさん、あまり大きな声は出さないでください。みなさんが怖がっています」

バーナビーが呆れたように、隣にいるタイガーにそう指摘すると、
タイガーは何食わぬ顔をして言った。

「何言ってんだよバニーちゃん。これも作戦のうちだぜ」

「はぁ…。あなたという人は…」

「なんだよ。俺のやり方が気に入らねぇのかっ!?」

「そういうことを言ってるんじゃありません! 少しはあなたの大事な市民のことも考えたらどうなんですか!?」

「だからっていつもバニーちゃんはよぉ」

「バニーって呼ばないでください!」

「く…くそっ」

「いいだろバニーちゃんはバニーちゃんなんだから…―― あっ、逃げやがった」

ワイルド・タイガーとバーナビーの言い争いが終わらないうちに、
追いつめられた犯人は2人の傍から一気に走って逃げだした。
そのことに気付いたタイガーとバーナビーは、
急いで犯人を追いかけようとするが、NEXT能力の「5ミニッツ100倍パワー」が丁度切れてしまい、
すぐに犯人を捕まえることができない。
しかしそれでも身体能力の高いバーナビーが男の背後へと詰め寄ったとき、
男はすぐさま近くにいた、悲鳴を上げながら逃げ惑う市民の中の1人を人質として捕まえた。
カシャンッと音を立てて、人質の腰にぶら下げてあった日本刀が落ちる。

「なっ…!!」

人質を取られてしまったことに、バーナビーは動きを止める。
そしてそこへやっと、タイガーが到着する。
タイガーが到着したことで、緊張感を上げた犯人は持っていた小型のナイフを、人質にした袴姿の青年の首元に押し付けた。
ツゥー…と首元を伝って落ちていく朱。

「おいっ。やめろ」

「うるせぇっ」

― あの人質の青年…。どっかで見たことあるな…。しかもつい最近だ。

― どこで見た?

犯人と言い争いを続けるタイガーの隣で、バーナビーは考える。
袴姿の青年。
どこかで見た記憶があると感じるのは、自分だけなのだろうかと思案する。
しかしそれは違っていた。
はるか上空。
空中から犯人と人質を見ているスカイ・ハイ。
その近くのビルの屋上からタイミングを見計らっているドラゴン・キッド。この2人も、どこかで見た顔だと直感する。

― どこかで見たな。間違いない。そして間違いない。

― あの人って…。つい最近どこかで…。

「あっ!!」

思わずドラゴン・キッドが声を上げる。

「どうしたんだい? ドラゴンくん」

スカイ・ハイが気になって訊いてみるが、ドラゴン・キッドは何も反応を示さない。
スカイ・ハイはだんだん心が沈んでくるのを感じた。

― あの人、本当に危険な目にもう1度遭っちゃったよ…。

そう、ドラゴン・キッドが考えの答えに辿り着いたように、
人質とされている青年は、前回のヒーローTVで人質とされてしまっていた、袴姿の青年だ。
ドラゴン・キッドの脳内に、あの日の記憶が甦る。
青年なのに、少年のように笑っていた彼。
「逢いたい」と残していった彼。
下駄の音を響かせて、夜の街に消えていった彼。
ドラゴン・キッドもまた、彼のことを忘れられなかった
。あまりにも印象深かったのだ。
そんな青年が、またもや命の危険に晒されている
。これはもう、助けなければいけないという信号が、真っ先にドラゴン・キッドの脳へと伝わった。
するとどうしたことだろう。勝手に身体が動き出していた。

「さぁ、俺が通る道を空けな。さもねぇと…どうなるかわかってんだろうな…?」

「くっ…」

バーナビーとタイガーが大人しく道を空けようとしたその瞬間、
またもや犯人を一筋の雷撃が貫いた。
そして、醜い男の悲鳴が響き渡る。

「ぎぃやぁぁぁあぁっっっ!!!!!!」

カランッという音を立てて銀色に輝くナイフが地面に落ち、
犯人の身体は、白目を剥いたままその場に崩れ落ちる。
しかし人質となった袴姿の男は、全くと言っていいほど怖がっていなかった。

「大丈夫?」
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