Ama storia di un dragone e l'uccello
□Ama storia di un dragone e l'uccello
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『さぁ! 今週も始まりました、ヒーローTV。今週はどのヒーローがどんな活躍をするのでしょうか!?』
「くっ…くるなぁっ!」
夜のシュテルンビルトの街を、1台の車が乱暴な運転で駆け抜けていく。
ところどころでは、通行人の幾人かの悲鳴が上がる。
「待つんだ。そして待つんだ!!」
夜の街を駆け巡っている車を、空中から空を飛んで追いかけている
、白と紫が煌めくヒーロー。
『おぉっとぉ! ここで現れたのは我らがKOH、スカイ・ハイだぁーっ!!』
車から、目出し帽を被ったがたいのいい男が窓から顔と拳銃を出して構えている。
そしてスカイ・ハイに拳銃を向けると男は、いち早く発砲をした。
パァンッという乾いた音が夜の街に響く。
「止まりなさい!!」
発砲をされて怯んだスカイ・ハイを横目に、凛っとした声が車の進行方向から聞こえてきた。
車の前方には、水色を基調としているヒーロー。
ヒーローの持っていたガンから放たれたものが、車のタイヤに当たり、形状を氷へと変えた。
「私の氷はちょっぴりコールド! あなたの悪事を完全ホールド!!」
『ここで来ましたぁ! ブルー・ローズの登場です!』
しかし動かない車を捨てた男たちは、ガタガタと大きな音を立てて車の外へ出る。
そして奇声を上げながら拳銃を振り回して走り回り、近くにいた袴姿の市民を人質にとったのだった。
「動くな!! そこから1歩でも動いたら……コイツの命はねぇぞっ!!」
「卑怯な…っ」
「どうとでも言え。おれらにはやらなきゃいけねぇことがあるんだ」
男はそう叫ぶと、人質のこめかみに拳銃を突きつけた。
しかし人質にされた袴姿の男は、こめかみに拳銃を押し付けられて死ぬかもしれないというにも拘らず、何故か余裕の表情を見せている。
それがブルー・ローズにとっては1番の驚きであった。
― なんなの…あの男…? 笑ってる…?
そして男が笑みを更に深めたその瞬間、一筋の雷撃が目出し帽を被った男を貫いた。
「ぃぎやぁぁぁあぁっっ!!!!」
男の醜い悲鳴が木霊する。その事実にだけは、袴姿の男も驚いたようだった。
すると黄色を基調とした、少年をイメージさせるヒーローが、綺麗にスタッと地面に降り立った。
『稲妻カンフーマスター、ドラゴン・キッドに300Ptが入ります』
袴姿の男は、ドラゴン・キッドから視線を外すことができないでいた。
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えることができない。男は直感した。
これは憧れのドラゴン・キッドに話しかけろという試練なのではないかということを
。すると男は本能的に足を動かして、ドラゴン・キッドのもとへと向かっていた。
「あっ…あのっ」
声が思わずも上擦ってしまう。
「はい?」
いつもTV中は普通に話すことをしないドラゴン・キッドが、撮影が終わったからか普通に話してくれている。
「ぼ、ぼくっ。ドラゴン・キッドさんの大ファンなんです。今日は…助けていただいてありがとうございました」
男がそう言うと、ドラゴン・キッドは暫く黙っていたが、ふと口を開いた。
「怪我は?」
「はい?」
「怪我はないの?」
ドラゴン・キッドからの予想外の言葉に、男は慌てた。
「あっ、はい。お陰様で怪我はありません」
男の言葉に、ドラゴン・キッドはホッとしたような表情を見せた。
本能的にドキドキする。
「これからは人質にされないように気を付けてね」
ドラゴン・キッドの笑顔に、胸が苦しくなるのを感じた。
「も……ももももう1度! もう1度…逢いたい…です」
顔を真っ赤に染めて、そう言った。純情そうな青年の言葉に、ドラゴン・キッドは狼狽える。
「そ、そんなっ! また逢うなんて、また危険な目に遭っちゃうかもしれないよ」
ドラゴン・キッドの言葉に、青年は軽く微笑んでから、言葉を紡ぐ。
「大丈夫です。ボク、これでも結構強いんですよ」
少年のように笑う青年に、何も言うことができない。
「それじゃっ。また逢いたいです」
簡単に「逢いたい」と言って、
いつの間にかカランッコロンッという下駄特有の音を鳴り響かせて、青年は夜の街に消えていった。
その場所に1人取り残されたドラゴン・キッドは、呆然としたように青年の消えていった方向を向いていた。
― 何だろう…。何かが気になって…。
― さっきはああ言ったけど…。ボクも…逢いたいな。
そんなドラゴン・キッドの後姿を、ブルー・ローズは不思議そうに見ていた。
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