07/12の日記

21:19
電波な沖田と教師な銀時
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ゆらゆら。
見上げた空は静かに揺らいでいて、月明かりだけが燦々と降り注いでいた。
水面に合わせて揺れるその空を純粋に綺麗だと思った。

ああ、これで本当に最後だ。
もう疲れてしまった。でもきっとあのひとは俺よりずっと疲れていることだろう。正しさを常に求める人だから、俺のこの意味のない行動にもほとほと呆れているはずだ。何が正しいのかなんて俺には到底分からないけど。
あのくるくるの銀髪を、甘い香りを、大きな掌を、不器用な優しさを、忘れないまま終わりたい。ああ、俺だけのアンタなら良かったのに。


ぶくぶく。
自分の吐いた息が泡となって浮かんでいく。
ここにいれば何も聞こえない、どこにもいけない、俺の心はここに置いていけるかな。
酸素を求めて苦しくなる体とは裏腹に、心は驚くほど静かだ。さよなら、さよなら。



「…オイふっざけんな!!!!」


ばちゃん。
俺の愛するあの人は、今日もまた俺を見捨てられなかったみたいだ。

求めていた酸素が肺いっぱいに満たされて思い切り咳き込む。俺の腕を掴むあのひとの手は強いままで痛いくらいだった。


「てめぇふざけんなよコノヤロー!何回こんなことすりゃ気がすむんだよバカが!」
「ぎんぱち」
「手首切って、飛び降りて、腹刺して、今日はプールで溺死?なんでそうやって命を大事にしねえのかなおまえさ、俺はお前が勝手に死のうがどーでもいいけど、あのニコチンとかゴリラとかジミーたちはどうなんだよ、なんで周りのこと考えられねえの」


ああ、もう見捨ててくれればいいのに。
俺を捨てきれない可哀相な銀八。


「……でしょ」
「ああ!?」


「銀八が俺のこと愛してくれないからでしょ」


そんな顔をさせたいわけじゃないのに、銀八はまた酷い顔をする。俺はアンタにそんな顔しかさせられないのかな。
水に濡れたままの夜は少し寒くて背筋がぶるりと震えた。掴まれたままの腕の拘束が緩む。

「はは、銀八、俺のことなんかもうほっとけばいいのに」
「…立場上そういうわけにも行かねえんだよ」
「教師と生徒ですもんね、アンタはいつも正しいんでさ」


そうだ、銀八は何も間違っちゃいないんだ。
教師と生徒だし、それ以前に俺たちは男同士なわけで。世間一般から見れば俺の気持ちは間違い以外の何でもない。そんなこと言われなくたって、嫌と言うほど知っている。

正しさしか認められないアンタは、きっと俺が何をしたって止めてくれるし、見捨てない。分かってるから俺もこんなくだらない行動を続けているわけで。
だからきっと明日も俺は俺を殺す。


「馬鹿ですねィ、銀八。ほんと大好き」
「…やっぱ死ねくそガキ」

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