□君の世界のちょうど隣
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ねぇ、真ちゃん。
俺がどれだけお前を想ってるか知ってる?
いや、知らねぇよな。
うん、わかってる。
真ちゃんは真ちゃんで、俺の気持ちをちょっとは解ってるかもしんねぇけど。
たぶん、俺が真ちゃんに寄せる想いがこんな汚いなんて考えねぇんだろうなあ。



「本当にね、真ちゃん、おは朝とバスケにしか興味ないもんね」
「いきなり何なのだよ」



いや、だってさ、
隣に並ぶ真ちゃんがこんな、本当おかしくなりそうなくらい美人だからさ。
少し見上げて、(真ちゃんは見下ろして、)そんで目があって、真ちゃんがメガネくいって上げて、そんでその形の良い唇が俺に向かって言葉を紡ぐんだよ?
俺のこと殺す気でしょ、絶対。
無意識とかいったらそれこそ死にそうなんだけど、真ちゃんのことだからきっと無意識。
ああ、うるさい心臓。



「いや、今ちょっと温度の変化で頭おかしーの」
「高尾がおかしいのは元からなのだよ」
「じゃあ通常運転!」



冷たい瞳で見られたって気にしねぇよ?むしろ興奮?するみたいな。あ、マゾヒストとかそういう趣向なんて持ち合わせてないからね、一応。
真ちゃんだからだよ、なんて。
くっせーな。



真ちゃん真ちゃん。
俺さ、おかしくなるくらい真ちゃんが好きだよ。
だってさ、俺をおかしいっていうけど、全部真ちゃんのせいなんだからさ。
責任とってー、はは。




「しーんちゃん」
「何なのだよ」
「今日家行ってもいい?」
「…好きにしろ」
「うん、じゃ行く」




馬鹿だなあ、うちのエース様。
なんたってこんなに鈍くて可愛くて愛しいんだろう!
本当、本当ずるいよな!




君の世界のちょうど隣

俺の世界は真ちゃんと同じ緑色

だけど真ちゃんとは程遠い。




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