銀魂 普
□君とみたらし
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自分は好かれるような人間ではない筈だ。
何がどうとかではない、そんな人間ではない、それだけの話。
そんな事は今更言われなくても解っていたし、当たり前だと思っていた。
…なのに。
「晋介様ーっ!!!」
こいつは。
「…なんだ」
「団子一緒に食べないッスか?美味しいの見つけたんスけど!」
あからさまな好意は苦手だ。
見ないふりが通じない。
まるで主人を見つけた子犬のようだと思う。
悪くは思わない。
「ああ、」
「みたらしと三色どっちがいいっスか!!?晋介様のお好きな団子って何スか!??」
「…ゴマだ」
「マジッスかあ!!すみません!ゴマ買って来るッス!!」
「いや、いい。」
からかうとしゅんと垂れた尻尾が見えた気がする。
なんだか暖かな。
ぱくり、一口食べるとみたらしの味が口内いっぱいに広がった。
甘いようなしょっぱいような。
「…似てるなァ」
「どうしたんスか?」
「お前と、みたらし団子」
甘くてしょっぱい。
そっくりだ。
笑ってやれば、喜んで良いのか解らないと言うような複雑な表情をしていた。
それがなんだか愛しく思えて、悩んでいる様が酷く可愛らしかったから、実は一番好きな味だと言うことは伏せておく。
「うめェなァ、これ」
「お口に合うようで何よりッス!いっぱいあるんでどんどん食べちゃって下さいッ!!」
暫くはこの距離が良い。
君とみたらし
(一番好きな味)
(それは勿論君も)
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