死ネタ 30題
□02死に際の残酷はいつも言葉
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何度その名前を呼んだって、
もう、どうにもならない事は分かっていた。
蘇芳色の瞳は穏やかに閉じられ二度と開く事はない。
頭ではしっかりと理解しているのに、認める事は出来ない。
何処を見たって総悟は綺麗で。
何をとっても総悟は強かった。
誰よりも必要だった。
だからお前がいない俺なんて想像出来ない。
嗚呼、もういっその事死んでしまおうか。
俺や近藤さんを、みんな置いて逝ってしまったお前を追いかけるのも悪くはないと思う。
むしろ、それを望んでいる。
「なァ、総悟」
望んでいても行動に移す事が出来ないのは、死が恐ろしいからではなくて、お前がそれを望まないと知っているから。
お前がいない世で生きるよりはお前と共に死にたい、と。
言えば悲しそうに笑ってそれでも生きろと言うんだ。
どれだけ辛いかなんて知ってる、でも生きていてほしいと言うんだ。
誰よりも闘い続けてきたお前の最期の頼み。
断れるわけがないんだ。
だから今日も、
お前がいない世界を生きる。
死に際の残酷はいつも言葉
(辛いかだって?)
(それがお前の望なら痛みなんてない)
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