銀魂 腐

□嘘なんて言わない君と嘘しか言えない僕
1ページ/2ページ






「次、いつ来るんでィ」


何の感情もこもってない淡々とした高い声が隣からする。
先程までの行為がなかったかのような態度だと、いつも思う。


「連れねぇなァ、さっきまでずっとよがってたくせに」
「それとこれとは別でしょ。さっさと言いなせぇよ、時間ねぇし」

乱れた服を整えながら大きな紅い瞳が俺を睨む。
…相変わらず屈しねぇ野郎だ。


「…来月だ」
「祭りかィ?」
「それこそ別問題だろ」
「…まあ、いいや」


沖田は服こそ着たものの、まだ体は気だるいようでここから動こうとはしなかった。
色素の薄い髪がさらさらと揺れる。


「もう行くのか、沖田よぉ」
「俺がいつ行こうが勝手だろィ。俺ァ好きでこんなことしてんじゃねぇんだし」
「だからこそ聞いてんだろ」


沖田と俺は別段そういう関係ではない。
ただ、俺がコイツの腕をかって鬼兵隊へ誘ったまでの話。
勿論断られてはいるが、いつの間にか体を重ねる代わりに情報を流すという奇妙な関係が出来上がっていた。


「…アンタァ、俺をどうしたいの」
「ぶっ壊してぇな」
「いっつもやってんじゃねぇか」

呆れたように目を細めてゆっくり立ち上がる。
…今日はここまでか。


「来月もこの場所ですかィ?」
「随分やる気じゃねぇか」
「馬鹿言え、俺はテメエが嫌いでさァ」
「安心しろよ、俺もお前の剣しか好きじゃねぇ」


微かに口許を上げて、そりゃあ良かったと沖田は部屋を出る。
俺しかいなくなった部屋で、煙管を口許に運ぶ。



「…好きじゃねぇ、よ」


アイツは嘘をつかない。
そういうところも含めて鬼兵隊に誘ったのだ。
だから、俺を嫌っているというそれもきっと本当なのだろう。


だから、俺は嘘を吐くしかないのだ。



「嫌いだよ、テメエなんぞな」



そうしてまででも俺の側にいてほしい、なんてな。





嘘なんて言わない君と嘘しか言えない僕

(秘めた想いは)
(一生口に出す事はないだろう)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ