銀魂 腐
□そんな勇気はない
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曖昧なままで、良いんだ。
「曖昧でも良いって変わってますね。はっきりした関係の方が好きそうなイメージでしたけど」
「はっきりしたら、俺は側にいられねぇよ」
まだ肌寒い寒空の下、両手を擦り合わせた山崎が白い息を出す。
もう3月に入るってのに気温はいっこうに上がりそうにない。
「副長と沖田さん、付き合い長いでしょ。あ、でもモテるのか」
「旦那とか伊藤さんとかねィ」
さっき買ったばかりのコーヒーを開ける。
熱くて苦めの味が喉いっぱいに広がって落ち着く。
いつから俺は部下にホモの相談なんかしてんだっけ、なんて考えてはどうでもよくなる。
「でもなんだかんだ二人仲良いし…沖田さん選ばれると思いますけどね」
「…馬鹿」
選ばれないんじゃねぇよ、
選択肢にさえなれねぇんだ。
少しだけ泣きたい気分を苦いコーヒーで、ぐっと喉奥に押し込む。何処からともなく冷たい風が吹いてきて、ぶるりと体が震える。
「俺ァ、土方さんが好きだと思った時から答えなんか望んでねぇよ…」
「そうですか」
どう頑張ったって俺はあの人を想うことは止められねぇんだ。
だから、曖昧なままで良い。
「〜っさみ。とっとと巡回終わらすぜィ」
「はっはい」
つまりは、
こうして寂しくなる位に近くて、思わず目頭が熱くなる位には土方さんが好きなんだ。
だから、答えなんていらねぇ。
弱虫な俺は、それを聞きたくないから。
だからさ、
アンタは俺のそんな狡いところ、知らないフリして笑っててよ。
そんな勇気はない
(返事を聞いたら多分さ、)
(アンタの隣にいられないから)