銀魂 腐
□屍に唄った愛
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「好きです」
雑誌やらお菓子の袋やらが散らばった、お世辞にも綺麗とは言えないこの部屋に、自分の声が虚しく響いた。
喉奥にいつも引っ掛かっていた言葉をやっとの思いで音にするも、それはたった四文字。
そのたった四文字でさえ、情けないくらい震えている。
「好き、です」
もう一度、自分でも確かめるように同じ言葉を紡いで、その響きを噛み締める。
多分、いつもと何ら変わらないこの部屋が、あの鈴の鳴るような笑い声を期待させるんだと思う。
「ねぇ、沖田さん」
返事が返ってこないことなんて解りきった事で。
それでも俺はやっぱり貴方の事が好きで、好きで、仕様がなかったんだ。
「…大好き、でした」
きっと貴方は困ったように笑うんだろう。
ごめんなさい。
俺も、そろそろ前に進みます。
屍に唄った愛
(貴方は空で、)
(どうか、笑っていてほしい)