銀魂 腐

□俺のみたらし返せ
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誰かに似てる。
誰だっけか。
顔立ちとか、赤っぽい、いやオレンジかな?の長い髪とか…傘、とか。
傘?
あ、あれだ。
チャイナ娘。


「ねェ、お侍さん?」


声はそんなでもねェな。
うわー、でも似てるな、見てっと腹立つとことかそっくり。


「コレ、ちょっともらうね。腹減ってんだ」
なんだ、食い意地はってるとこも似てる。
まあ確かに此処の団子うめーしなー。
だからこうしてサボって買って…ん?


「アンタ、何人の団子食ってんでィ」
「んー?」


そういやコレ、俺の団子じゃん。
土方の目をすり抜けてサボってる俺の団子じゃんよ。
金払わないで食ってンじゃねェ!!!


「ちょうだいって言ったじゃん」
「ちょっとって言ったよな、ソレちょっとじねェだろィ」


もぐもぐ口動かしやがってムカつくな。
何とも思ってなさそうなとこがムカつく。


「つーかテメー誰でさァ?チャイナに似てるな、夜兎かィ?」
「夜兎知ってるんだ。そうだよ、夜兎の神威って言うんだ」


まあ、どうでもいいけどね。
とりあえず団子返してくれれば。


「お侍さん、名前は?」
「沖田総悟」
「そうご…?」
「とりあえず団
子返せよ神威」


まだ食ってやがる。
どんだけ食い意地はってんだ。
あ、てかそれ俺が好きなみたらし団子。


「うん、返したいのは山々なんだけど、俺あいにく金ないんだよネ」
「金は別にいいでさァ。とりあえず俺のみたらしを…」
「だから、変わりに」




ちゅ




え?
顔近…じゃなくて、これはいわゆるチューってやつですか?
いやいやいやいや、あれ?コイツ男だよね?
あれ?俺も男だよね?
いやいやいやいや、確かに女みてーな顔してるけどさ、
いやいやいやいや、でもれっきとした男…


「ごちそうさま、総悟」
「は…はあああ!!!?」


気付けば神威はさっさと遠く離れてて、いやいやいやいや、ちょっと待て、結局俺が金払う感じなのか?



「総悟ぉぉぉぉ!!!」
「げ…」


土方め、感づきやがって…
まだ全然団子食ってねェよ、神威のせいで。

「テンメッ、何サボってんだ!!!誰がテメェの始末書書いてやってると思って……ん?」



ピタリと土方の手がおでこにあたる。


「熱はねェな…」
「はあ?いきなり何ですかィ?とうとう脳ミソマヨネーズに浸食されました?」


何でいきなり熱計られなきゃいけないんだ。
絶対頭おかしい。
あ、もともとだ。


「いや、総悟、お前顔真っ赤だぞ」
「…ああ、さっきちょっと走ったんですよ。本当に。別に照れてるとか恥ずかしかったとかじゃないですよ、走ったんですよ、本当に」


本当に。
別にチューされて恥ずかしかったとかじゃなくて、別にチューした時ドアップにいた神威の顔がかっこ良かったわけでもない。絶対にない。
そう、ちょっとビックリしただけだ。絶対に。



「…神威のくせに…」
「何か言ったか?」
「…いえ…」



神威のくせに、ドキドキさせてンじゃねェよ。










「おぅおぅ、遅いお帰りで」
「何、阿伏兎?勝手に地球行った事まだ怒ってるの?」
「当たり前だろーがすっとこどっこい!!たまには上司の尻拭いする俺の身にもなってくれ」
「まあまあ、いいでしょ、今日は事件起こさなかったし」
「そういや、団長にしては珍しく戦ってないらしいな。お気に召す相手がいなかったんですか?」
「うーん、いたよ。強そうなのが1人」
「珍しい事もあるもんだねぇ。団長が問題起こさずに帰って来るなんて」
「ははっ、戦ってみたかったんだけどね。ちょっと綺麗だったから見とれちゃった。…まあ、次は戦って来るけどね」
「団長が見とれるなんざどのくらいべっぴんさんなんだか。俺も一度目にし
たいもんですね」
「阿伏兎には勿体ない位綺麗な人だよ」




そう、
真っ赤な血の似合うような……


とっても俺好みの顔。


待っててよ、総悟。
今度会ったら綺麗な紅で染めてもっと俺好みの綺麗な顔にしてあげるから。



「…ふふっ、楽しみだネ。ねェ阿伏兎?」
「知るか。だが今度地球行く時にゃ、俺も誘ってくれよ…?」














俺のみたらし返せ
(あーあ、俺の大事な給料…)
 

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