銀魂 腐
□天の邪鬼
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長期出張に出た。
ちょっとは寂しがってくれるかなとか期待して、可愛い恋人にわざと素っ気なく言ってみた。
「へー」
俺より素っ気なかった。
期待した俺が馬鹿だった。
うん、ちょっぴり泣けた。
それでもやっぱりちょこっとだけ期待して、
ケータイをプレゼントした。
サボってないか見張ってやるからメールしろとか言ってみた。
「はあ」
やっぱり素っ気なかった。
期待した俺が馬鹿だった。
うん、前が霞んで見えない。
悲しくなんてないし。
別にメール来なくてすねたわけじゃないけど、サボってないか確認するために、もう一回言う、サボってないか確認するために俺からメールしてみた。
別にメールが来なくて寂しかったわけじゃない、決して。
『元気にやってんのか?
近藤さんに迷惑かけんなよ。 もうちょっとで帰るから。』
サボってないかの確認をしてない?
しただろ、最初に。
それは元気かどうかの確認だ?
フン!一緒だろ。
返事がきた。
ちょこっと期待してメールを開いてみた。
『あー、うん。元気。
色々仕事こなしてまさァ。
たかがアンタ一人が
いないくらい変わりやせん』
うん、鼻水だよな、コレ。
目から出てるけど。
前が霞んで見えないけど。
だって、仮にも恋人だろ?
なんでこんな冷たいメール…
その日ちょっと飲みたい気分だったから山崎と飲みに出かけた。
もう一回言う。
ちょっと飲みたい気分だったから山崎と飲みに出た。
別に結構傷付いてるとかじゃなくて、なんか軽い世間話的なノリで、なんかシラケた時に作る話題的なノリで山崎に愚痴って……ゴホン。話してみた。
ちょ、俺を巻き込まないで下さいとか聞こえなーい。
え?なに?山崎なんか言った?
少し涙目の山崎に例のメールを見せてみた。
はあ、今度はノロケですか?
とか半ば呆れ気味に溜め息をつかれた。
イラッときたから一発くらわせてやった。
なんかズビズビ言ってる気がしたけど知らない。
え?なに?山崎どうかしたの?
つうかとっとと言えよ。
マジでさあー何なの?
ぶっ殺すよマジでさあー。
酔っぱらってるんですか?
酔っぱらってねぇよ、その証拠にこんなに平静。
早く言えよ腹立つな。
副長、最初の文の頭文字ですよ
言われて、読んで、
長期出張なんてほっぽって屯所に帰って、
そのあと散々徹夜することになったのは言うまでもない。
天の邪鬼
(それさえも素直に言うことが出来ない)
(嗚呼、なんて愛しい!)