銀魂 腐

□天の邪鬼
1ページ/1ページ






長期出張に出た。
ちょっとは寂しがってくれるかなとか期待して、可愛い恋人にわざと素っ気なく言ってみた。


「へー」


俺より素っ気なかった。
期待した俺が馬鹿だった。
うん、ちょっぴり泣けた。


それでもやっぱりちょこっとだけ期待して、
ケータイをプレゼントした。
サボってないか見張ってやるからメールしろとか言ってみた。


「はあ」


やっぱり素っ気なかった。
期待した俺が馬鹿だった。
うん、前が霞んで見えない。



悲しくなんてないし。
別にメール来なくてすねたわけじゃないけど、サボってないか確認するために、もう一回言う、サボってないか確認するために俺からメールしてみた。

別にメールが来なくて寂しかったわけじゃない、決して。


『元気にやってんのか?

近藤さんに迷惑かけんなよ。 もうちょっとで帰るから。』


サボってないかの確認をしてない?
しただろ、最初に。
それは元気かどうかの確認だ?
フン!一緒だろ。

返事がきた。
ちょこっと期待してメールを開いてみた。



『あー、うん。元気。
色々仕事こなしてまさァ。

たかがアンタ一人が
いないくらい変わりやせん』


うん、鼻水だよな、コレ。
目から出てるけど。
前が霞んで見えないけど。


だって、仮にも恋人だろ?
なんでこんな冷たいメール…


その日ちょっと飲みたい気分だったから山崎と飲みに出かけた。
もう一回言う。
ちょっと飲みたい気分だったから山崎と飲みに出た。

別に結構傷付いてるとかじゃなくて、なんか軽い世間話的なノリで、なんかシラケた時に作る話題的なノリで山崎に愚痴って……ゴホン。話してみた。


ちょ、俺を巻き込まないで下さいとか聞こえなーい。
え?なに?山崎なんか言った?


少し涙目の山崎に例のメールを見せてみた。


はあ、今度はノロケですか?
とか半ば呆れ気味に溜め息をつかれた。
イラッときたから一発くらわせてやった。


なんかズビズビ言ってる気がしたけど知らない。
え?なに?山崎どうかしたの?
つうかとっとと言えよ。
マジでさあー何なの?
ぶっ殺すよマジでさあー。


酔っぱらってるんですか?
酔っぱらってねぇよ、その証拠にこんなに平静。
早く言えよ腹立つな。

副長、最初の文の頭文字ですよ





言われて、読んで、
長期出張なんてほっぽって屯所に帰って、
そのあと散々徹夜することになったのは言うまでもない。





天の邪鬼
(それさえも素直に言うことが出来ない)
(嗚呼、なんて愛しい!)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ