銀魂 腐

□相談相手
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吐く息が白くなったのを見て、無性に虚しさを覚える。


それが寒いことが理由でない事は知ってた。





「新八、」


自分を呼び掛けるこの人が何を見ているのか、ずっと知らなかった。
し、これからも分からないのだと思ってた。



「…なんですか、苺牛乳ならもう…」
「あ、あのさ、男同士の恋愛って可笑しいか?」



いつになく真剣な顔をして、緊張してるんだと思う。

僕に言うことも随分躊躇っていたようだから、きっと神楽ちゃんには言ってないんだろうな、なんて。



「…あ、有り得ないよな同性愛とか!!そりゃそうだよな、男同士だもんな!!やっぱ男は女…」
「別に良いと思います」


驚いたような、顔。
でも、こう言ってほしかったんでしょう?
貴方のことだから。



「好きになった人がたまたま男だっただけでしょ?性別とかどうでもいいんじゃないですか?」



口角が少し上がった。
喜んでくれたようで良かった。

確かにそう思ったけど、胸のどこかがチクリと痛んだ。



「そっか…そうだよな、性別なんて関係ねぇよ!」

サンキューな



そう言ってあまりに嬉しそうに笑うから、僕も嬉しくなってしまうけど。




留守番頼んだ、
とかなんとか言って出ていく背中を見送って、大きな大きな溜め息を吐いて。


空を見れば酷く綺麗な青空でなんだか憎たらしかった。



気が付いたのはいつ頃だったか。

思い出すのも難しいくらい前、銀さんの瞳の先に気が付いた。


いつもいつも――、
銀さんが追いかけるのはあの薄茶色だった。



強くて。
あの人は僕なんかよりずっと強くて、儚くて、美しくて、
(少し?ドSだけど)


僕が勝てるような相手じゃなくて、まさに月とスッポンが合うような人で、銀さんが好きになるには当然のような人で。



そう考えたら、
二人が幸せそうに歩いてる様子が浮かんで。



けど僕が銀さんと並んで歩いてる未来なんて想像出来ないんだ。

涙が出た。



きっとあの人は、すぐ、こんな近くに自分を想い続けてるメガネがいるなんて考えもしないんだろう。
きっと僕が沖田さんの話をされる度におそう痛みの事なんて知らないだろう。




それでも、いい、かな。




決してあの人の一番になれないけど、

決してあの人の一番になりたくないわけないんだけど、


あの人が幸せなら。


あの人の一番最初に相談する相手が何時までも僕だといいな。






『相談相手』


この場所だけは、絶対に誰にも譲らない。
 

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