頂
□土方の病んでる話
2ページ/3ページ
そろそろ監禁をされて2ヶ月経つかな、なんてのんきな事を考えながら足を動かしてテレビのリモコンのスイッチを入れる。
昨日の土方さんは、機嫌が良く、口に貼ってあるガムテープを取ってもらえた。
ふぅ…とため息をつきながら、騒がしい電子機器に視線を向ける。
そこで報道されていたのは、目を疑うようなニュース。
『先日、23:00ごろ、居酒屋の近くで殺人事件が発生しました。被害者は坂田銀時さん(28)。犯人は被害者の喉元を斬りつけ逃走した模様です。」
…旦那が?
嘘だ、と思えどテレビに映された文字は、明らかに自分の尊敬している人で。
きっと同姓同名の誰かだ、と必死に言い聞かせるが、身体の震えは止まりそうにない。
「驚いたか?無理もないだろうが。と言っても、俺が殺したんだぜ?」
突然、背後から聞こえたソイツの声。
「アイツは総悟に近づき過ぎた。だから消したんだよ。」
その声は遠足前の子供みたいに弾んでいて。
「ひ…じかた…さん?」
恐る恐る振り返れば、体を血で染めた土方さんが立っていた。
「なぁ総悟。俺はお前を愛してるんだ…。分かってくれるよな?」
一歩、一歩と土方さんが俺に近づくにつれ、俺も土方さんが近づくと退く。
逃げなきゃ。
この人から。
「あああああぁあぁぁぁ!!」
唯一自由な足を動かして、土方さんに体当たりする。
土方さんがよろけた隙に、ドアを開け、外へ飛び出した。
こうなるとは予想ていなかったらしく、後ろから待て、と唸り声が聞こえた。
「ハァ…ハァ…。」
どれくらい走ったのかも分からない。
明るかった辺りは、完全に暗くなっている。
「ハァ…ハァ…」
ここまで来れば、大丈夫だろう、と思い、裏路地に入り腰を下ろした。
ガタ、と音が辺りに響く。
カタカタと震える身体。
荒くなる息遣い。
「ひっ……」
ソレは、俺の顔を覗き込み、こう告げた。
「みーつけた。」
BAD END