銀魂 腐弐

□糖分過多で死んでしまえ
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脱ぎ散らかされた服は明らかに女物で、だからベッドの上、銀八の隣で眠っているのも当然女で。銀八だって男で、相手が美人なおねーさんなんてそりゃ当然ってなもんで。ちなみに今回でもう何度目になるのかなんて数えてないし、数えきれないからもう慣れてしまった。

なんてのは嘘で。


「おい」
「え、?きゃ!」


すやすやと寝息をたてる銀八の横で、同じくすやすやと寝息をたてる美人なおねーさんを蹴り落とす。それも当然。

だってそこは俺の場所だから。



「早くどけよクソ女。テメエみてえなブスお呼びじゃねえんでさァ」


脱ぎ散らかされた服と女をまとめて玄関から追い出して、しっかり鍵を閉めたら終了。
一息ついてクソ女の喚き声を聞きながら部屋へ戻る。
ベッドの上でにやにやと薄笑いを浮かべこっちを見ているのは、俺の愛しいあのひと。


「女の子なのに容赦ねーな沖田」
「だってブスだったでしょ」
「お前から言わせればみんなブスだろ」
「分かってんならそろそろ止めなせえよ」


くるくるの髪の毛が寝癖でさらにぐちゃぐちゃになっている。寝起きの瞳は、眠そうに見えるけどそれはいつもだから眠いのかそうじゃないのか分からない。
女を追い出したことでちょうど空いている銀八の隣へ潜り込む。
銀八は、ニヤけた笑みを崩さずにさも当然のように俺を引き寄せる。


「銀八くっせ」
「え、なに、まだ俺加齢臭大丈夫だと思ってたんだけど、そんなやばい?」
「女くせえ」


銀八は甘い匂いがする。
それこそ苺パフェのような、チョコのような、お菓子のような匂いがする。安心する匂い。俺の好きな匂い。
でも今日のは駄目だ、甘ったるすぎる、香水と女の匂い。
ムカつくから思い切り噛み付いてやった。


「いって、容赦なさすぎるわほんと」
「くっせーんだもん」
「お前ほんとかわいーのな」


ぐしゃぐしゃ髪を撫でられる。大きな手。悪い手だ。この手が全部悪いんだ。だって今もその手はいかがわしい動きを始めた。
あーあ、俺は今日も絆される。


「何ですかィ、ヤんの?」
「ヤるつもりできたんでしょ」
「そーいうことにしといてあげやす」
「素直じゃないんだから?」


唇を合わせたら後は流れのままに。
またこの悪い人に引きずられて。
さっきまで女を抱いてたくせにさ。

この感情はきっと間違いなく愛しいって気持ちなんだと思う。
くるくるの銀髪も、お菓子みたいな甘い匂いも、気がついたらコトを始めてる悪い手だって愛しくてたまらない。
この距離でいいんだ、必要とされるなら。


「沖田くんも、甘いね」
「ッ、はは」


もういっそ殺してやりたい。




糖分過多で死んでしまえ
(俺をあげまさァ)



title by 夜途

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