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□放課後、帰り道
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放課後、帰り道
部誌を書き終えて、斜め後ろの金髪を横目で見る。
ヘッドフォンをつけ背中を向けている西野空は、たぶんケータイをいじっているのだろう。
毎日一番最後まで残っていく俺を、西野空は用事がない限り待っていてくれる。
前に『遅くなるから先帰ったらどうだ?』と言ったら、『喜多くんと帰りたいから待ってるぅ』なんて言われて、それ以降は西野空の好きなようにさせている。
「終わったぞ、西野空」
「ひゃっ!?」
近づいて軽く肩を叩くと、悲鳴に近い声を上げて勢いよく振り向いた。
どうやら、予想以上にびっくりさせてしまったらしい。
「す、すまない」
「わーびっくりしたぁ
あ、部誌終わったー?」
「あぁ、帰るぞ」
「うん!」
荷物を持って部室を出る。
その二歩後ろぐらいを、てくてくという効果音が似合いそうな西野空がついてきた。
まるで親鳥の後を追いかける雛みたいで可愛い。
寒いからなんて言い訳をして、手袋をしてない西野空の手を掴んでポケットに入れた。
「…冷たいな」
「き、喜多くん!」
「寒いからな、嫌か?」
「ううん、イヤじゃない」
「ならいいじゃないか」
ポケットの中で指を絡めれば、真っ赤な顔で握り返してきた。
思わず抱き締めてしまいたくなったが、ここは住宅街に近い通学路。
必死にキャプテンとしての自分で抑えこんだ。
「ねぇねぇ、喜多くん」
「なんだ」
「寒いからギュッてして」
いや?なんて首を傾げて上目使いで見るのだから断れるはずがないじゃないか。
繋いでいた手を離して、正面から思いっきり抱き締めてやる。
すぐに背中に腕が回ってきて、そんなに嬉しかったのかとこちらも嬉しくなった。
「喜多くんあったかいねぇ」
「君だってあったかいじゃないか」
肩に顔を埋めながらぎゅうぎゅうと痛いくらいに締め付ける西野空に、額に口付けるだけで抑えた自分は頑張ったと思いたい。
放課後、帰り道
再び繋いだ手は暖かくて、顔を少し赤くした西野空はすぐ隣にいた。
もう先に帰れなんて言えない。
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浅葱様から相互記念にいただきました!!
神シチュ!!やばい。萌える(´Д` )///
浅葱様ありがとうございました。
これからよろしくお願いします。