Starry☆Sky

□初カラオケ
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「それで、今日はホントに
 月子の言ってたところでいいの?」


「うん。
 私、行ったこと無いから」


どちらからともなく、私と郁は手を繋ぐ。


最初は手を繋ぐだけでもすごく恥ずかしかったけれど、最近やっと慣れてきた。


いつかはすれ違うカップルのように自然に腕を組めたらとも思うけれど、なかなかその時は来なさそうだ。


お互いの近況の話をしながらしばらく歩き、到着したのは綺麗な外装のカラオケ店だった。


実は私は、カラオケに行ったことが一度も無い。


前から少しだけ興味があったけれど、錫也に

「カラオケは怖い人がいっぱい居る」

と言われて、怖くて行けなかった。


そんな話を郁にしたら、

「月子のナイト様は大変だね」

と笑われて、郁の友達がバイトをしているという綺麗で明るい雰囲気のカラオケ店に連れて行ってもらうことになった。


中に入ると、まるで洋風のお屋敷のようにオシャレな空間で、錫也の言っていたイメージとは全然違う。


驚いている間に郁はスムーズに受付を済ませてくれて、私達はマイクが二つ入ったかごを持って指定された部屋へと向かった。


部屋に入り、荷物を端に置いて郁は曲リストの載っている辞典のように厚い本を適当にめくる。


「じゃあ、月子が先に歌ってよ。
 初カラオケなんでしょ?」


郁が私にマイクを差し出す。


「え・・・。
 緊張するから、郁が先に歌って」


私は郁の横に座って一緒に曲リストを見ながら、マイクを返す。


すると、郁は意地悪そうに微笑んだ。


その瞬間、嫌な予感がした。


郁がこの笑みを浮かべるときは、またからかわれるときだ。


「ふ〜ん。
 まあ、僕はそれでもいいんだけどね。
 月子は僕の後でも歌えるんだ?」


郁は、昔私がハマっていたバンドのボーカルだ。


毎週CDの売り上げNO.1の大人気バンドになる前に解散してしまったものの、その歌唱力は確かなものだった。


いくらブランクがあるとはいえ、たった数年のブランクで郁の歌が落ちるとも思えない。


「う・・・歌います・・・・・・」


完全に郁の方が一枚上手で、私は仕方なくマイクを受け取った。
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