Starry☆Sky

□2人で幸せに
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いつもハイテンションな琥春さんとこんなに真面目に語り合うのは、初めてかもしれない。


「月子ちゃん。

本当に琥太郎を選んで、後悔しない?」


今日だけで何度目かの、同じ質問だ。


御両親にも琥春さんにも、何度も尋ねられた。


付き合ったばかりの頃やプロポーズを受けたとき、琥太郎さんにも言われた。


でも、それは全部、私の事を思って言ってくれているのだろう。


「はい。

琥太郎さんを、愛していますから」


本人には恥ずかしくて言えないセリフも、琥春さんには言えた。


「そう。

幸せになってね」


琥春さんは優しく髪を撫でてくれる。


「はい。

琥太郎さんの幸せは、私が守ります」


「そうじゃないの。

月子ちゃんが、幸せにならなくちゃ」


私が幸せに、か。


「でも、私の幸せは、琥太郎さんが笑っている事ですから」


大切な人が幸せに笑ってくれている。


それがどんなに幸せなことか、琥太郎さんは教えてくれた。


「琥太郎さんは幸せにならなきゃいけない人なんです。

だから、幸せに笑っていて欲しいです」


私がそう言うと、琥春さんは優しく私を抱き締めた。


いつも抱きついてくるときとは、何かが違う。


「有李も……郁の双子のお姉さんも、同じことを言っていたわ」


有李さんも……。


同じ気持ちだったのかな。


琥太郎さんの事が大好きで大好きで、幸せに笑うところを見たかったんだよね。


「聞いてた?

愛されてるわね、琥太郎」


琥春さんが急に声を張り上げる。


少し間が空いて、扉の影から琥太郎さんが顔を出す。


少し目が潤んでいるのは、気のせいだろうか。


「こんなんでも一応姉弟だからね。

言葉が無くても、そこで隠れてろ、くらいは通じちゃうの。

月子ちゃん、ごめんね」


イタズラっぽく笑う琥春さん。


恥ずかしくて下を向いた私の手を掴んで、琥太郎さんは庭に出た。
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