Starry☆Sky
□あと2年
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屋上庭園に行くと、もう郁は来ていて、ベンチで本を読んでいた。
「ごめんね、郁」
私はゆっくり郁の座るベンチに近づく。
横にそっと腰を下ろすと、郁は横目で一度私を見て、本に目を戻す。
私はそっと郁の肩に頭をのせた。
「今日は随分甘えるんだね」
郁はいつものからかい口調で言うけれど、反論する気にはならなくて、そのまま黙る。
郁はやっと難しそうなタイトルの本を閉じて横に置き、静かに唇を重ねた。
「今日の月子、猫みたいだね」
郁の方が猫みたいだよ、と思うけれど、今日は言わないでおく。
いつもと違う私の様子に気付いた郁は、意地悪そうな表情から一変、とても不安そうな顔をになった。
「どうか、した?」
郁のこんな顔を見るのは初めてだ。
私はそっと、口を開いた。
「今まで、生徒会の仕事だったんだけどね……」