アオイイロ

□Talk of the devil and he will appear.
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「…なんだ今の夢は」

疾風はベッドの上で嫌そうに顔を歪めた。

最近あいつの夢なんて見ていなかったのに、なんで?

朝から最悪な気分である。

「疾風、今日最下位よ」

更にリビングに行くと、いきなり母親の百合からテンションが下がる様な事を言われる。

「何、最下位?」

「星座占い」

にっと笑って、朝食の準備に戻る百合の背中を見送り、疾風は椅子に座った。

いつもは占いなど気にしないのだが、今日はなぜか嫌な予感がしてならない。

早く学校に行こう、と疾風は箸を取った。



「疾風?顔色悪いよ」

疾風の席の近くを通った小林が心配そうに言ってきたのは、昼休みのこと。

「あぁ、確かに」

疾風の隣でお昼を食べていた大和も頷く。

今日は教室で食べたいらしい大和は、チャイムが鳴るとすぐに疾風のクラスに来たのだ。

毎回一緒に食べていて、大和はクラスで浮いてるのでは?といらない心配もしてしまう。

「え?そんな悪い?」

2人に一斉に肯定されて、酷いと実感する。

「実は、今日嫌な夢見て」

「嫌な夢?」

小林が首をかしげる横で、大和はぽんと手を打った。

「…あ、分かった。いつっんが!?」

「…奴の名前を言うな」

大和の言い掛けた口を押さえ、鬼気迫る表情で大和を睨んだ。

小林が疾風の豹変ぶりに驚いた顔をしているが、構っていられない。

「名前言ったくらいで」

大和が呆れた様に首をすくめる。

「いや、今日は嫌な予感がしてるから」

疾風は朝からあるモヤモヤとした複雑な気分を、押し殺すように息を吐いた。

「ま、お前の嫌な予感は意外と当たるからなぁ」

そんなことを言って笑う大和を見て心底泣きたくなった。

本当に当たったらどうする?!




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