たんぺんもの


□どうしても離れたい
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title離れたい






ラブホに男同士で行けるわけもなく。
実際、入ろうとしたら断られた。

よって…家になる。
彼氏が一人暮しで本当によかった。

やっぱりしたい時に好きなだけできないのは辛い。

つまり現在俺は彼氏んちだ。

しかしだ。
俺は今、久しぶりに別れを考えていた。

付き合い初めは考えの相違に悩んだ。
むしろ無理だった。

そして別れを切り出した事数百回。
長い年月共に過ごせば致し方ない数字だ。


普通、有り得ない数字だろうが、絶対にこれは致し方ない数字の筈だ。

何故ならば。


「あ、イラッシャイ。」


うん。
君、何してるんだ。
君、女の子抱いてるね。
君、服をぬがしてるね。
君、裸だね。
君、挿入してるよね。

うん。
そいつは君のお友達には見えないなあ。


はい、俺今日こそいいます。
10年の付き合いだろうがなんだろうが!
知ったこっちゃねぇ!

恋人の浮気現場に出くわすのは数えて568回目だコラァ!
でも正攻法では別れられないので、とりあえず。


「よお」


普通を装いました。


「ワリ、待ってて。俺イきそう…」


腰をふる恋人(馬鹿)。
それを横目で見ながら、鞄から取り出したのは新品のアドレス帳。

身体を貧り会う二人。
聞きたくもない喘ぎ声。
恋人(馬鹿)の携帯を取り出す。
丁寧に一件一件書き出していく。



そして二時間後。




すっきりした顔付きの女の子と恋人(馬鹿)が部屋から出て来た。
俺は笑顔を浮かべて風呂をさした。


「二人で入ってきたら?」


女の子は嬉しいのか笑うと頷いた。

好きとでも言われたか。
恋人(馬鹿)は不審そうに俺を見ている。
それはそうだろう。
たいてい、俺は見つけたら殴る蹴るを繰り返し、さっさと帰宅するからだ。


「すっきりしてこいよ。」


特上の営業スマイル。
伊達に29歳と年を重ねてません。
野郎相手に客なら一発で落ちるスマイルを売るのはしゃくに触るが今は仕方ない。



「あ、うん…」





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