たんぺんもの
□気持ちはきちんと
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告白に間を空ける事なく存外あっさりと了承した後輩。
歓喜が全身を巡る。
涙が出そうだ。
どうしたらいいだろう。
同じ思いでいてくれたとは。
女に告白した時もこんなに全身の血が逆流するような、頭に血が上って訳が解らなくなる様なそんな感覚は体験したことがない。
もしかしたら俺のアクションを待っていたのかもしれない。
恋が成就した喜びにわけが解らなくなってしまった俺。
頭が動かない。
フリーズしたみたいだ。
「あ、けど先輩。すいません!俺、今日部活の後、友達と約束があるんで…明日ならOKですけど明日でもいいですか?」
嬉し過ぎて頭が…
って…
今なんとおっしゃいました?!
「もしかして今日じゃないとまずい用事ですか!?」
押し黙ってしまった俺に畳み掛ける様に言う後輩。
俺、告白したよな?!
付き合わないかって…
付き合わないかって!
それを何がどうなってそうなってしまったんだ!
ん?
付き合わないか…好きとは言えなかった…遊びの誘いと勘違いされた??!!
「じゃあ友達の方を明日にずらします!」
黙り込む俺は珍しい。
怒ったと勘違いしたのだろうか。
しかし一世一代の告白が水泡に帰した俺はこう言うしかなかった。
「いや…俺の方はいいから」
「は?」
「友達と遊んでこい」
「先輩?」
「暫くそっとしといてくれ…。」
「ちょ、先輩?どうしたんですか?今日そんなに大事な用事だったんですか?友達は気にしてもらうようなもんじゃないんで…先輩!」
後輩の声も聞こえない。
ふらふらと俺はその場を後にした。
−教訓−
告白はきちんと気持ちを伝えた上でどうしたいかを伝えましょう。
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