銀時×土方2

□家庭円満の秘訣
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「あ、んた……」

母も呆然と中を見ている。ソーゴのことが見付かったのだと思った銀時は、どうやって説明しようかと、パニックに陥った。しかしどう考えても、誤魔化しようがない。

「なに?友達来てたの?」

しかし次に発せられた母の言葉はそれだった。ハァ?っと言いながら母を見ると、彼女の視線はトーシローに注がれている。ソーゴは小さくて銀時の影になっていたために、気付かなかったようだ。助かったと、ホッと胸を撫で下ろす。

「友達来てたなら、ちゃんと紹介しなさいよ」
「え?い、いや……」
「ぅ……?」

その母の声に、トーシローが反応した。ゆっくりと瞼が引き上げられ、中から極上の宝玉が現れる。
なんてタイミングが悪いんだァァァ!と心中で絶叫する中、目を覚ましたトーシローは、むくりと起き上がり、ぺたりとフローリングの上に座って母をじっと見た。

「こんばんは。銀時の母です」

母はにっこりと微笑んでそう挨拶をした。トーシローはきょとんとしたまま母を見てから、ようやく状況を理解したのか。突然ふんわりと、花が綻ぶような微笑を浮かべた。

「こんばんは。土方十四郎です。銀時のお嫁さんです」
「そう。銀時の、……お嫁……っ?!」
「トーシロー!!」

母と銀時の叫び声が見事に重なった。トーシローはそれに、ことりと首を傾げる。

「銀時ィィィ!!」
「は、はいィィィ……っ!!」

母が唸るように、銀時を呼ぶ。銀時は一瞬で竦みあがった。小さな頃からの条件反射だ。しかし、振り返った母の顔に浮かんでいたのは、銀時の意に反して満面の笑みだった。

「あんた!さっきからやけにそわそわしてると思ったら、こういうことだったのね?やるじゃない!!どこで捕まえたの?!」
「え?いや」
「なに?トーシローくん?こんなバカな天パーでいいの?それより、これ、本物?」
「天パ、言うなァァァ!!!」

銀時の訴えは全く無視され、母は嬉しそうにトーシローに向きかえり、彼の綺麗な烏の濡れ羽色の髪を触りまくっている。
だから、いやだったんだ。と、銀時はガックリ項垂れた。どうも、外堀からじわりじわりと埋められていっているような気がする。
それよりなにより彼女は、トーシローが男だと分かっているのだろうか?
いや。彼女にとって、恐らくそんなことは瑣末なことに違いない。



銀時の母、シルヴァーナ坂田。彼女は自他とも認める、黒髪フェチだった。




2007.6.16(初出) 2007.6.23(収納)



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